午後の時間はすべて探究学習に! 全国初の取り組みとなった「シブヤ未来科」
そのような中、日本でも革新的な取り組みが始まっています。その一例が東京都渋谷区の探究「シブヤ未来科」です。この先進的なプログラムは、日本の教育改革の可能性を示す重要な一歩と言えるでしょう。
渋谷区は「ちがいを ちからに 変える街。渋谷区」を基本構想に掲げており、この言葉を体現する人材を育成するため、令和6年度から渋谷区内の全公立小中学校で、主に午後の時間を中心に探究「シブヤ未来科」が割り当てられました。
文部科学省の「授業時数特例校制度」を活用したシブヤ未来科は、基礎教科の授業時間を1割減らし、総合的な学習の時間に上乗せしたものです。何より区内の全小中学校での一斉導入という全国初の試みが多くの注目を集めています。
1年間の学習の流れは、企業連携による体験を通した「探究基礎」、学校が定めた「共通テーマによる探究」、子どもたちが自ら考えた問いを探究していく「My探究」の3つのプログラムを行うというものです。
シブヤ未来科の特徴のひとつは、教員自身も「探究」しながら独自のカリキュラムを開発する点です。渋谷区とSTEAM JAPANが開発した『探究ハンドブック』が各学校に配布され、渋谷区教育大綱をベースに、教員やクラスの実態に合わせて柔軟にカリキュラムを作成するためのガイドラインとして活用されています。
探究ハンドブックと現場の教員の判断により、「どのような人材を育成したいか」「子どもたちにどのような能力を身につけてほしいか」といった明確な目標に基づいてカリキュラムが構築されています。
この渋谷区のアプローチは、従来の教育の枠を超え、子どもたちと教育者が共に学び、成長する新しい取り組みとして期待されています。