つくば市教育委員会、東北大学大学院 情報科学研究科 堀田龍也研究室、東京書籍、Lentranceは、学習者用デジタル教科書の学習履歴データの活用に向けた共同実証研究の報告会を、2月19日につくば市内の学校関係者向けに実施した。同研究では、家庭学習においてデジタル教科書の操作回数や操作時間など複数の指標が中程度以上の生徒は、音読課題の得点や定期テストの成績が高いことが報告されている。
共同実証研究は、つくば市内における公立中学校の1年生62名を対象に、英語科で2021年10月~2022年2月の期間における、平日8時~16時を除いた家庭学習時(休日、長期休み中は全日)に行われている。
同実証では、家庭学習時における学習者用デジタル教科書(中学校英語)の操作ログから、それぞれの生徒が学習に意味のある操作をどれくらいしていたか(学習の強度)を推測すべく、学習上無関係と推測されるログを除外した上で主成分分析を行った。その結果に基づいて、生徒の操作傾向を以下の4つのクラスタに分類した。
さらに、それぞれのクラスタと音読課題や定期テストの得点との関係を調査。その結果、操作ログの各指標がいずれもある程度高いグループ(クラスタ3)は、音読課題や定期テストにおいてよい成績を収めていることが明らかになっている。
あわせて、操作回数やアクセス範囲は多いものの他の指標が低いグループ(クラスタ2)では、他のグループと比較して成績が低い傾向にあることもわかった。
実証結果を受けて、研究チームでは、学習者用デジタル教科書を家庭学習においても積極的に活用していくことが、成績の向上につながった可能性もあると考え研究を進めている。また、成績上位者になるほど操作回数だけでなく視聴時間がともなうことから、今後は視聴時間がともなうような課題の出し方や、教員の働きかけ方といった、効果的なデジタル教科書の活用方法についても研究を進めていく。
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