日本総合研究所(日本総研)は、まちの遊民社が計画している、静岡県富士市内の小中学校での新たなキャリア教育プログラムの実施を支援することを、2月14日に発表した。あわせて、日本総研の独自開発による社会体験カリキュラム「子ども社会体験科 しくみ~な」(しくみ~な)のノウハウを無償提供し、まちの遊民社のキャリア教育プログラムの構築支援を行う。
「しくみ~な」は、学内授業と学外体験施設での社会体験活動を通して世の中の仕組みを学習できる、小中学生を対象とした日本総研独自の社会体験カリキュラム。社会・経済・お金・仕事はどのように回っているかを、全10回程度の学内授業と学外体験施設でのロールプレイを通じて学べる。
学外体験施設では、子どもたちが指示書に沿ったロールプレイを通して社会の関わり合いを疑似体験し、複数の組織や人々との関わり合いを体感する。スーパーのブース例では、子どもたちそれぞれが店長、企画、調達、販売といった異なる役割を担ってタスク(課題)を遂行する。さらにスーパーのブースにおけるタスクは、農家やエネルギー会社、市役所や銀行といったスーパーに関わる組織やそこで働く人々が、互いに関わり合いながら行うように設計されている。
子どもたちは、就業者としての活動だけではなく、投票や納税といった市民としての活動や、銀行口座の開設や買い物といった消費者としての活動なども行う。これらの包括的な体験活動を通じて、社会の仕組みを理解するとともに、さまざまな組織や人の持つ役割の重要性を学ぶことを目指す。また、実際の社会の縮図に即した現実感のある体験が可能になるよう、学外体験施設には公共機関のほか地域にゆかりのある民間企業や個人、NPOなどと連携して、地域の特性を反映させたブースを設ける。
学内授業では、教育関係者や識者などの協力を得て作成したワークブック(学習帳)や教員向け資料を使用して、教育現場の負担軽減と学びの質の平準化を図る。民間企業などからブース出展だけでなく、スポンサーシップの提供も受けることによって、地域で社会体験カリキュラムを支える事業モデルを構築していく。「しくみ~な」ではこれらを公教育と連動して行い、子どもたちの体験格差をなくすことを目指す。
富士市における取り組みでは、「しくみ~な」のノウハウをまちの遊民社に無償で提供する。2024年度はまちの遊民社と連携して、「しくみ~な」のノウハウを参考とした新たなキャリア教育プログラムを構築。市内の小中学校数校における「総合的な学習の時間」の一部としての実施を支援する予定となっている。学内授業3コマで社会の仕組みを学んだ後に、市役所や民間企業など富士市の産業(社会の仕組み)を反映したブースを設けた学外体験施設での学習を、1日かけて行う。
また、まちの遊民社が計画する富士市独自のキャリア教育プログラムを構築するプロジェクトに対して、富士市の地方創生SDGs推進制度「FUJI3Sプロジェクトエッグ認定制度」を通じて寄附を行っており、寄附金は富士市SDGs推進に資する取り組みに使用される。
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