リクルートは、同社の観光に関する調査・研究、地域振興機関「じゃらんリサーチセンター」(JRC)が静岡大学と共同で開発に取り組んだ、余暇を楽しむキャリア教育プログラムの内容詳細と、静岡県の富士市立高等学校および私立浜松聖星高等学校で実施した、同プログラムによるキャリア教育の授業の様子を、7月4日に発表した。なお、同教材は静岡大学教育学部塩田研究室のWebページにて公開されており、教育関係者や旅行業界の関係者なら無料でダウンロードして活用できる。
静岡大学の塩田研究室では、従来のキャリア教育が職業調べや職場体験学習などの「仕事」を中心とすることが多かったこと、AIやロボットの台頭が著しい昨今において働き方も変化し、人生を幅広く捉えプライベートの充実(余暇や家庭、地域活動など)について考えるライフキャリアの教育の重要性も高まってくるとの考えから、新たな教育プログラムの必要性を感じていた。
一方、JRCでは少子高齢化による人口減少で人々の余暇の過ごし方も多様化する中で、国内旅行実施率が減少傾向であることを課題と捉えていた。そこで次世代の若年層に旅行の価値を感じてもらい、市場をさらに活性化すべく同研究に取り組むことになった。
同研究を通じ、高校生を対象として「旅行」をテーマに自身の「余暇」に対する視点を広げ、人生をどう豊かにするかを考えるためのキャリア教育プログラム(教材)が作成された。表層的な好き嫌いによる余暇探しではなく、ニーズをもとにした余暇探しの視点を体験できる内容で、「好き」をベースに「してみたい旅行」を探していく。
あわせて、作成したプログラムを活用して、5月25日には静岡県の富士市立高等学校で、6月16日には静岡県の私立浜松聖星高等学校でキャリア教育の授業を実施した。
授業に参加した生徒に対して、「旅行に行きたいと思う」というアンケートに5段階で答えてもらったところ、授業前は平均4.16点だったのに対して、授業後は4.55点となり旅行意向が増えている。さらに、「やってみたいこととして旅行の優先順位は高い」については、授業前は平均3.6点だったが、授業後は4.5点に増加した。また、「将来は仕事以外の時間を充実させたいと思う」では、授業前は平均4.68点だったのに対して、授業後は4.75点となっている。
授業に参加した生徒からは、「自分が思っている好みとはまったく別の結果で驚きました。結果を見ると、確かに自分の行きたい旅行の種類だったと思いました」「好きなことから自分に合っている旅行が見つけ出せて楽しかった。あまり旅行に行くことがないので、これからたくさん行きたいと思った」「将来仕事以外の余暇も充実させるようにしたいです」といった意見が寄せられた。授業に参加したことで、キャリアにおける余暇の大切さや旅行への意欲が高まった様子がうかがえる。
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