国立大学協会会長である永田恭介氏は、生成AIの利活用に関するコメントを、5月29日に公表した。
同コメントでは、国立大学における生成AIの、適切な形での効果的な利活用が進むことが基本的には望ましい、と述べている。
国立大学が行う教育活動において、生成AIの利用を一律に禁止することは求めておらず、生成AIを適切かつ効果的に利活用することは、学生の知的欲求や能力を高めることに寄与する可能性を指摘する。
一方で、レポートや論文、課題などの作成において、学生が安易に生成AIを利用することによって、企図した教育効果などが得られないことが懸念される。この点を踏まえて、各国立大学はそれぞれの判断に基づいて一定の方針を定め、明確なルール化を図ることを推奨している。
また、国立大学が行う研究においては、生成AIを含むAI技術の研究推進だけでなく、その他の研究分野における生成AIなどの利活用が研究そのものを著しく推進することも想定される。あわせて、生成AIの抱える各種の課題解決をはじめとした、AI技術の発展に関する研究とともに、制度面、倫理面などの関連分野が主体となる研究の推進も期待されている。さらに、大規模データの処理や作業の効率化といった、研究活動を加速するような利活用の在り方についても前向きに検討されるべきとしており、生成AIに関わるさまざまな研究分野の展開が、大学の新たな可能性を開く、との予想を示した。
ただし、現状での生成AIは、既存のデータにない新たな知見に関する分析や記述は可能ではないこと、データの正誤についての判断はできないことについて留意する必要がある。また、「ねつ造」「改ざん」「盗用」といった研究不正リスクへの留意を求めている。
生成AIが作成した文章には、出典が明示されないケースや、他者の論文などの剽窃となっているかどうかの判断が不可能なケース、データの操作によるねつ造や改ざんなどのケースも想定される。同コメントでは、各大学に研究不正の生じないような生成AIの利用に向けた、注意喚起などに努めるよう訴えている。
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