はじめに
角川ドワンゴ学園が2016年に開校したN高等学校、ならびに2021年に開校したS高等学校(以下、N/S高等学校)で始まった「N/S高新聞」。2022年の2月から本格的に生徒が参加し始め、生徒が企画・執筆を行った記事が週に3回noteで更新されています。
N/S高新聞の特徴的な部分は、記事の執筆だけでなくTwitterの運営やイベントの企画などにも生徒が主体的に関わっている点です。
今回は角川ドワンゴ学園の経験学習部で部長を務め、N/S高新聞の発足にも携わった園 利一郎さんにお話を伺いました。
「学園の職員のみで運営を行いながら生徒に問題を提示する形よりも、生徒を交えて共に考えながら自分たちで課題を見つけてもらうほうが、より生徒たちの学びにつながる」と語る園さん。生徒主体のメディア運営によって生まれる学びとは何なのでしょうか?
園 利一郎(その りいちろう)氏 プロフィール
角川ドワンゴ学園 N/S高等学校担当副校長、経験学習部部長
総合的探究、課外授業、課題解決型プロジェクト学習などの能力開発授業を担当。
通信制高校だからこそ生まれた学びの場
──園さんが部長を務める経験学習部とはどのような部署なのでしょうか?
一言で表すと、生徒たちがよい経験をできる機会を増やすための部署です。
N/S高は通信制高校なので、時間を自由に使える生徒が多くいます。自由度が高いからこそ、生徒自身が考え行動する経験的な学習に取り組むことで、さまざまなスキルを獲得できます。その経験を増やすべく能力開発のための学習プログラムを作ったり、プロジェクト学習などの授業や課外活動の機会を提供したりすることがこの部署の主な仕事内容です。
──そのプログラムのひとつとして動いているのがN/S高新聞ということですね。では、N/S高新聞を設立したキッカケを教えてください。
主体的な生徒の活動や活躍の場を増やしたかったからです。
実は「N高新聞」というのがN高の開校当初(2016年)にあったんです。当時、N高には1500人ほどの生徒が在籍していましたが、学校で起こっていることを生徒に十分に共有できていない状況でした。「学校での出来事やイベントを共有することで生徒に学校に対して親近感を持ってほしい」と、部署の職員が担当者となり制作していました。
しかし次第に閲覧されなくなってしまい、作るのも大変だったため「もう廃止にしよう」という声が上がっていたんです。そのときに「だったら生徒主体の運営に切り替えてはどうか?」と提案し、今の形となりました。