産業医や保健師などによる役務提供サービスと、従業員の心身の健康管理に関するクラウド型サービスを提供するメンタルヘルステクノロジーズは、東京大学名誉教授であり中央教育審議会副会長として「学校の働き方改革」答申をまとめた小川正人氏や、琉球大学教授の西本裕輝氏、NPO法人共育の杜などと共同で、全国の教職員のメンタルヘルスを守ることで、子どもたちのより良い教育環境の提供にすることを目指すコンソーシアム「教職員のメンタルヘルスプロジェクト」を、8月29日に発足した。
同プロジェクトでは、まず教職員の精神疾患による病気休職者率14年連続全国1位の沖縄県でメンタルヘルス対策事業実現を目指す。11月5日にはシンポジウムを開催し、教職員がベストコンディションで教育活動に専念できる環境の実現を図るため、さまざま支援、国・地方自治体への提言活動を行っていく。
プロジェクトメンバーは以下の通り。
- 株式会社メンタルヘルステクノロジーズ 代表取締役社長 刀禰真之介氏
- 東京大学 名誉教授 小川正人氏
- 琉球大学 教育学部教授 西本裕輝氏
- NPO法人共育の杜 理事長 藤川伸治氏
昨今の時代の変化に伴い、教職員を取り巻く環境や課題が変化しているにも関わらず、「教職員の働き方改革」はなかなか進んでいない上に、教職員のなり手不足という深刻な事態に直面している。
心の病で病気休職(1カ月以上)した教職員は2007年度から5000人前後と改善の兆しは見えず、すでに民間企業などで確立している効果的なメンタルヘルス対策を実施している教育委員会は全国で数例しかない。教職員のメンタルヘルスの悪化は当事者のみならず、子どもにも悪影響を及ぼすという調査結果もあり、対策は急務となっている。
同プロジェクトでは、教職員のメンタルヘルスを守るための具体的かつ効果的な施策を講じることの重要性を発信し社会的な理解を得ることで、教職員にとって「働きやすい職場環境」の創出や、健全な学校運営の実現により教職の魅力をさらに高め、子どもたちにとってより良い教育環境を提供することを目指す。
プロジェクトのミッションは以下の通り。
(1)教職員のメンタルヘルスケアの重要性を普及させることで新しい価値観を形成
教職員にとって「働きやすい環境」をつくることが、健全な学校運営や子どものためになるということへの社会的な理解の促進。
(2)教職員の心身の健康を守る具体的な施策立案と実行
休職率が高い県の要因調査と、調査結果に伴う具体的なメンタルヘルス対策の立案と実行、効果実証。
(3)メンタルヘルスに対するリテラシーの向上
メンタルヘルスケアの手法である「4つのケア」を推奨し、学校現場でのメンタルヘルスに対するリテラシーの向上を促す。
11月5日に沖縄県那覇市(八汐荘)で開催されるシンポジウムのテーマは「学校における効果的なメンタルヘルス対策の具体的な提案」。日本の大手IT企業で取り組まれている効果的なメンタルヘルス対策をもとに、教育学者や産業医によるパネルディスカッションを通じて、精神疾患による病気休職者を減らすポイントを明らかにする。なお、同シンポジウムはオンラインでも配信される。
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