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非認知能力を育む英語教育――カギとなるのは「コミュニケーションを楽しむ場の創出」

ハグカムの「GLOBAL CROWN」で子どもが英語を続けられる理由とは

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2018/04/11 14:00

 小学校英語教育の早期化なども相まって、就学前から英語に親しむ子どもたちが増えている。もともと幼児教育として人気は高く、様々な手法や教育法に基づく多彩なサービスが展開されてきた。近年ではネットを介した教育が注目され、株式会社ハグカムが提供する子ども向けに特化したオンライン英会話スクール「GLOBAL CROWN」も人気を集めているという。サービス設計の根底にあるのは、単に英語力を高めるだけでなく、英語を通じて好奇心や主体性といった非認知能力を育もうという思いだ。なぜ、そのような思いに至ったのか、それを実現するためにどのような取り組みが行われているのか、同社 代表取締役の道村弥生氏に伺った。

株式会社ハグカム 代表取締役 道村弥生氏
株式会社ハグカム 代表取締役 道村弥生氏

「子ども向け」に特化し、独自の設計思想でサービスを開発

 グローバル化が進み、英語学習へのニーズが高まる中で、技術の進化によるオンライン英会話サービスが充実し、急速に市場を拡大しつつある。手軽で安価、家に居ながらにして英会話を学ぶことができるため、忙しい人でも続けられやすいのが特徴だ。近年では、子ども向けのオンライン英会話サービスも登場している。

 ハグカムが提供する子ども向けオンライン英会話スクール「GLOBAL CROWN」もその一つ。しかし、あえて「子ども向け」に特化することで、英語を楽しく習得しながら、子ども本来の好奇心を育むことを目的としていると言う。代表取締役の道村弥生氏は「大人向けの英会話サービスとはまったく設計思想が異なる」と語る。

子ども向けオンライン英会話スクール「GLOBAL CROWN」
子ども向けオンライン英会話スクール「GLOBAL CROWN」

 「大人が英語を学ぶ場合、レッスンを予約して、動画や先生を選んで、というようにすべて自分の意思に基づいて行動します。ある意味、やる気はユーザー任せと言えるでしょう。しかし、子どもはそうはいきません。どうやって英語と出会う機会を与えるか、充実した英語体験を提供できるかで、英語に対する印象も習得度も変わってきます」

 英語学習では『続けること』が最も大切だと言われる。しかし、子どもが英会話レッスンを続けられるかどうかは、子どもの意思だけの問題ではない。そこで道村氏は既存の英会話サービスの利用者に対するヒアリングから学習を続けられなくなる原因を探り、その解決策を模索していったと言う。

 「続けられなくなった理由は、大きく3つあるように思います。1つは保護者が共働きなどで送り迎えができないなどの環境的な要因、そして2つめは学ぶ意思はあっても習慣化できずに断続的になっていること。そして3つ目はなんらかの問題で、親や子ども自身が英会話スキルの成長実感を感じられていないことです」

 まず1つ目の環境的問題は、オンライン学習が安価に利用できるようになったことで、大きく改善された。ネットを介して学習コンテンツが提供されれば、送り迎えなどの負担もなくなる。さらに「GLOBAL CROWN」では、利用者の親和性が高いスマートフォンやタブレットを使うアプリに特化。いつでもどこでも親の目が届くところで手軽に英会話のレッスンが受けられるようにすることで、続けやすい環境を実現させている。

GLOBAL CROWNのアプリの画面(マイページ)
GLOBAL CROWNのアプリの画面(マイページ)

 そして、2つ目の課題である習慣化を実現するために、「GLOBAL CROWN」では、子どもが集中できる20分を1レッスンとし、従来の習い事のように決まった曜日と時間を設定するスタイルとしている。最も人気があるのは週に3回コースとのことだが、月水金の18時と決めて「夕食前にレッスンしよう」というように子どもの生活の中に組み入れるわけだ。当然ながら『いつでも受けられる』より『先生が待っている』状況の方がほどよい拘束力があり、続ける意欲につながる。

 そして3つ目。『英会話教室に毎週通わせても効果が上がらない』と不安を漏らす保護者は想像以上に多い。その原因を掘り下げてみると、リアルな英会話教室はグループレッスンがほとんどのため、間違いをみんなの前で指摘されて英語嫌いになったり、先生や友達と日本語でおしゃべりばかりして肝心の英会話の時間がおざなりになったり……。

 「もちろんリアルな場での学びはインパクトがあり、みんなとワイワイ交流する方が続けられるという子どももいます。しかし、英語の進捗は人それぞれ、レベルも好きな学び方も違うのですから、一人ひとり異なるレッスンが受けられるのが理想的です。そして、さらに子どもの学びのモチベーションをあげるには、単に『英語を教える』のではなく、コミュニケーションを楽しみながら英語の楽しさを伝え、英語が開く新しい世界を見せつつ、好奇心を刺激することだと思います」

 こうした仕組みづくりや工夫によって、半年後の継続率が80~90%、スクール開講から3年近く続けている生徒もおり、業界ではかなり驚異的な数字と言える。しかし道村氏は「最終的な目的は英語力を高めることではない」と言う。英語という学びのもとで、コミュニケーションの楽しさを知り、新しい世界に興味を持ち、主体的な学びの習慣を体得させることが真の目的というわけだ。

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人生を豊かにする「非認知能力」を高める幼児教育を目指して創業

 こうした「GLOBAL CROWN」のサービスに対する考え方の根底には、道村氏自身の原体験に基づく思いがあると言う。

 道村氏は、大学卒業後にサイバーエージェントに入社し、新規事業開発や人材採用・育成などに携わってきたという経歴を持つ。特に退社直前に所属したアメーバ事業本部では、室長として事業の組織横断的な取りまとめや品質向上施策、事業戦略設計などを担い、現在につながる事業家としての経験やスキルを体得してきた。しかし、それ以上に人材の採用・育成やチームコーディネーションでの経験が、事業の核となる部分に大きな影響を与えていると言う。

 「入社して3年目頃から、漠然と教育に関する事業を立ち上げたいと考えるようになりました。仕事を通じてさまざまな人と接する中で、同じような情報・状況でも人によって受け取り方が異なり、アウトプットも異なる。その理由を考えるうちに『大人になる前にカギがある』と考えるようになったんです。そして確信を持ったのは、人事部に異動して、多くの学生と会うようになってからでした」

 同年代で知識やできる仕事に大きな差があるわけではない。しかし、明らかに目に輝きがあり主体的な人とそうでない人がいる。なぜその差異が生まれるのか。一人ひとりの話を聞くうちに、子ども時代に差異があることを強く実感したと言う。

 「目が輝いている人は、明確な目的意識を持ち、主体的に関わり楽しんだ成功体験をたくさん持っていました。そこには親や先生など、挑戦を促し見守る大人が必ず存在しています。私も教育事業を興すなら、そうした経験を多く与えられるサービスを作りたいと思うようになりました」

 そこで道村氏は、事業の設立や運営について学ぶためにアメーバ事業本部への異動を希望し、新入社員と一から事業について学び、後に室長として組織横断的なプロジェクトでチームをまとめる役割を担うまでになった。

 そうした経緯からも推察できるように、道村氏自身も子どもの頃から目的意識が高く、挑戦することを是としてきた一人だ。教師であるご両親からさまざまな示唆を受け、「新しいことを知りたい、やりたい」という好奇心を育まれてきたと言う。そうした「幸せな子ども時代」の肯定感が、道村氏が事業に向き合う姿勢につながっていることは間違いない。

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能力を引き出すカギは人とのコミュニケーション、講師に求められる素養とは?

 子どもの頃に育まれた好奇心や主体性といった「非認知能力」が、後の人生をさらに豊かにしてくれる――。そう考える道村氏が立ち上げた「GLOBAL CROWN」の講師には、英語力・指導力のほか、当然のように「子どもに働きかけるコミュニケーション力」が求められる。

 「大人と違って子どもはモチベーションを保つのが苦手です。面白くなければ、あっという間に集中力が途切れてしまいます。子どもたちを飽きさせず、英語を楽しいと感じてもらえるようなレッスンをするためには、英語力もさることながら、講師が子どもたちと楽しくコミュニケーションできることが大切です」

 そこで、多くのオンライン英会話が採用しているフィリピン人講師ではなく、日本語を自在に話せるバイリンガルの講師をアサインしている。海外で生まれ育った帰国子女や英語で講義を受けている大学生、元英語教師の主婦、海外在住の日本人など、プロフィールはさまざま。共通するのは、高い英語力・指導力に加え、子どもの英語教育の意義や価値を理解し、熱意を持ってレッスンに当たる意欲だと言う。

 「ビジネスとしてはもちろん安価にアサインできる方が魅力的ですが、『子どもと関わって、英語の楽しさを伝えたい』という意欲のある方でなければ、私たちの事業は成り立ちません。そのために相当の時間と手間をかけて、英語力はもちろん、表情や立ち振る舞いまで見て『子どもと楽しくコミュニケーションがとれるかどうか』という判断基準で採用を決めるようにしています」

 まずは書類審査に始まり、Skypeでの面接を経て、オリエンテーションを実施。その上で適性があると見なされた候補者だけが、レッスンの仕方や事業のビジョン、子どもたちへの接し方などについてのレクチャーを受ける。そして最後に模擬レッスンを行い、それに合格して初めて採用となる。応募から面接合格まで至るのは約半数、模擬レッスンまで突破できるのは40%程度だと言う。

 「面接して感じるのは、英語習得に苦労された経験があり、英語によって自分の世界が広がったと感じている方は、私たちの事業に共感してくださることが多いですね。そうした経験があるからこそ『子どもたちには楽しく英語を身につけてもらいたい』『英語を知って広がる世界を見せてあげたい』と、教える側のモチベーションにつなげられているのだと思います」

 さらに講師は固定にせず、複数の講師でレッスンを担当する。誰とでもオープンにコミュニケーションができるようという意図からだ。

 「お互いに初めてでも臆さずに楽しく話せることも英会話では重要なポイントです。ですから講師には馴れ合わずとも、フレンドリーに子どもをリードできる力が必要なのです。また、英会話以外でもさまざまなバックグラウンドの大人と話せることは、子どもにとって大きな刺激になることは間違いないでしょう」

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何かに興味を持ったときは自律的に学べる環境を実現したい

 いつでもどこでも使えるアプリを使って、習慣的に20分間のレッスンを楽しく受け続けることによって、登録時には「英語が嫌い」と言っていた子どもが、約1か月後には「英語が楽しい」と口にするようになると言う。しかし、本当の意味で英語学習を継続し、見合った成長を遂げるには、その後こそが肝心だ。

 「楽しくなってきた後」のモチベーションの継続に有効なのが「成長実感」を得ることだと言う。「GLOBAL CROWN」では、レッスンごとに講師によるレベル判定を行っており、タイミングごとに21段階の成長レベルに分けて学習の習得状況を把握できるようになっている。どちらかというと子ども自身がというより、保護者が子どもの学習状況を把握できることから、「安心して子どもを見守ることができる」と好評だ。

21段階の成長マップ(一部抜粋)
21段階の成長マップ(一部抜粋)

 「当然ながら講師側でもレベルを意識しながらレッスンを進められるので、アダプティブラーニング(適応学習)としての効果も高いと考えています。子ども自身もレベルにあったコンテンツが紐づいているので、復習も効果的に行えます。ただ子どもたちはレベルアップそのものより、それでもらえるメダルの方が嬉しいようですが(笑)。そのほか、新しい先生のレッスンを受けると画面上で「海の生き物」がもらえるなど、続ける楽しさを随所に盛り込んでいます」

たくさんの先生とレッスンするほど、海の生き物が集まる仕組み
たくさんの先生とレッスンするほど、海の生き物が集まる仕組み

 そして今後の課題・展開としては、現在の英会話のジャンルや幅を広げ、読み・書きなどを含めてレッスンのバリエーションを増やしていきたいと語る。さまざまな経験ができるようコンテンツを盛り込み、道村氏は「今の英語学習に不安を感じているすべての親の悩みを解消したい」と意欲を見せる。

 また「GLOBAL CROWN」で培った、子ども達のモチベーションをアップさせるためのノウハウや知見を生かし、英会話以外のスクールビジネスにも取り組んでいきたいと語る。特に昨今問い合わせが増えているのが『プログラミング』だ。学習指導要綱に盛り込まれながらも、地方には対応できるスクールが少ない。そのためにオンライン受講というニーズが高まっていると言う。さらに意外ではあるが、ダンスのような体を動かすレッスンにも向いていると言う。

 「他にも新しい取り組みとして、実現させたいこと、やりたいことは山ほどあります。例えば、子どもが何かに興味を持った時に、先生が近くにいなくても教えてもらえる環境を実現させたい。そうした自律的な学びの経験は、今後さらに社会に求められるものになると思います」

 そう語る道村氏の目の輝きは、まさに好奇心に満ち溢れた子ども時代を彷彿とさせる。そして、ハグカムの教育サービスで学んだ子どもが、目を輝かせながら新しい価値を生み出す日も近いのだろう。

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著者プロフィール

  • 伊藤 真美(イトウ マミ)

    エディター&ライター。児童書、雑誌や書籍、企業出版物、PRやプロモーションツールの制作などを経て独立。ライティング、コンテンツディレクションの他、広報PR・マーケティングのプランニングも行なう。

  • 斉木 崇(編集部)(サイキ タカシ)

    CodeZine/EdTechZine編集部 編集長。1978年生まれ。早稲田大学大学院理工学研究科(建築学専門分野)を卒業後、IT入門書系の出版社を経て、2005年に翔泳社へ入社。2005年6月の正式オープン以来、ソフトウェア開発専門のオンラインメディア『CodeZine(コードジン)』の企画・運...

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