アドビシステムズは、日本の初等、中等、高等教育機関の教員と教育政策関係者を対象にした「学校現場における『創造的問題解決能力』育成に関する調査」の結果を、1月11日に発表した。
「創造的問題解決」とは、創造性に富んだ革新的な方法で問題や課題に取り組む手法で、今回の調査では、「分析的思考と抽象的思考」「コラボレーションとコミュニケーション」「臨機応変な対処」「デザイン」の4つのカテゴリーを位置付けている。
「創造的問題解決能力」の重要性を尋ねた質問では、教育関係者の約9割が「創造的問題解決」を学ぶことを重要であると考えており、約7割が「創造的問題解決能力」が高い方が将来高収入の仕事を得やすいと考えている、という結果となった。
一方で、半数の教育関係者は、現在の教育課程では「創造的問題解決能力」の育成があまり重視されていないと捉えており、現場の教員からは「教科の授業時数や教えるべき内容が多すぎて、創造的問題解決能力に時間を当てられない」「創造的問題解決能力は数値化できない。評価できる教育者がいない」といった声があがっている。
「創造的問題解決能力」の育成を阻害するその他の要因としては、教員への研修不足、ツールへのアクセス不足などが挙げられ、とりわけ「創造的問題解決能力」育成のためのツールや、研究/知識習得の機会が十分に得られておらず、「生徒や学生の『創造的問題解決能力』を育成するために必要となるソフトウェアやツールが揃っていない」「研修を受けておらず、必要な知識も持っていない」という回答が7割以上に達した。
また、授業で使えるソフトウェアやツールがまったくない、と回答した教員は、アメリカが3%、イギリスが5%、ドイツが15%であったのに対し、日本では40%と他国との大きな差異が明らかになっている。
さらに、教育政策関係者の約9割が「創造的問題解決能力」を育成する授業を教育現場に取り入れる方法や、関連する教育課程の改訂について「検討の余地がある」と感じており、現場の教員は「創造的問題解決能力」の育成のために、学校経営陣や国/都道府県による改革と入試制度改革を望む声があがった。
【関連リンク】
・アドビシステムズ
・「学校現場における『創造的問題解決能力』育成に関する調査」(PDF)
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