カシオ計算機は、全国のICT化が完了している高校の教員/していない高校の教員各206名を対象に実施した、高校におけるICT教育の実態調査の結果を9月27日に発表した。同調査は、8月13日~15日の期間に行われている。
調査結果によれば、1人1台環境が整備されている高校でも、ICTを「積極的に活用している」と回答した教員は37%に留まる一方、端末未整備の高校では6割強の教員が今後「ICTを活用したい」と回答した。
「ICTを活用したい」理由としては、「これからの時代のスタンダートとなるから」「授業を効果的、効率的に行えるから」「ビジュアルで見せることができるので、生徒の興味関心をひきやすい」「コロナ禍で学習時間を確保するため」といった回答が多く寄せられており、「ICT化が進んでいる高校の事例を参考にしたい」という意見が約76%もあった。
端末を整備済みの高校における、授業などで使用しているツール、アプリについて困っていることとしては、「使い方の習得に時間がかかる」「ノートと同じような操作性とは言えず、操作が難しい」「端末の機種によって使用できない場合がある」が上位を占めた。
端末未整備の高校の教員が、今後使用するツール、アプリに最も期待することとしては、「操作が簡単で誰でもすぐに使いこなせる」がもっとも多く、「端末の機種に依存せず使用できる」がそれに続いている。
ICT化を進める上での不安、課題を尋ねた質問では、「教師間の意識にギャップがある」(50%)が最多で、以下「端末が支給されただけでその後のサポートがない」「ICTに関する研修が不十分である」が続いた。
ICT整備校におけるICTの活用内容としては、教員の75%が「理解しやすいように、教材をビジュアル化して提示」していると回答した。
ICTの活用で実現している/したいこととについても、「教材のビジュアル化」(61%)がもっとも多い。さらに「授業や課題の準備業務を効率化させたい」「課題をオンラインで配布、提出できるようにしたい」がそれに続いている。なお、「探求型の学習やグループ学習を推進したい」は37%に留まった。
ICTの活用によって、時間を節約したいと思う作業、業務としては、「板書にかかる時間」(62%)や「教材準備の時間」(53%)が上位となった。ICT整備校の教員の50%超が、「課題のオンライン上での配布・提出」に取り組んでいる。
端末や各種ツールの使用、資料作成など、教員自身の基本的なICTスキルは、端末整備校では「かなり身についていると思う」と「ある程度身についていると思う」を合わせた回答が73%だったのに対して、端末未整備校では50%弱と大きく差がついた。
学校や担当クラスの生徒のICTスキルについても同様で、端末整備校では「かなり身についていると思う」と「ある程度身についていると思う」を合わせた回答が60%だったが、端末未整備校では38%に留まっている。
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