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EdTechZineオンラインセミナーは、ICTで変わりつつある教育のさまざまな課題や動向にフォーカスし、最新情報をお届けしているWebメディア「EdTechZine(エドテックジン)」が主催する読者向けイベントです。現場の最前線で活躍されているゲストの方をお招きし、日々の教育実践のヒントとなるような内容を、講演とディスカッションを通してお伝えしていきます。

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イベントレポート(アダプティブラーニング)

実は身近な「HSC」(敏感な子ども)とは? 子どもたちそれぞれの得意と不得意を知り、学習方法を選ぶことが重要


 ADHDやASDなどの発達障がいの子どもたちの増加、HSC(ハイリー・センシティブ・チャイルド)という敏感な気質を持った子どもたちの存在などが注目される昨今。「子どもたちの多様性について理解を深めたい」と感じる先生も多いのではないだろうか。本稿ではそんな発達障がいやHSCに関する説明会をレポートする。

それぞれの子どもに合った学習方法で弱点を克服

 12月8日、9日に横浜市でKABC-Ⅱ検査サービス説明会とHSC(敏感な子ども)の才能を活かす関わり方講座が開催され、保護者85名が参加した。

 この取り組みを行ったのはAI学習教材「すらら」を提供する株式会社すららネット。すららのユーザーのうち、1200人以上が発達障がいやHSCの気質を持つ小・中学生というすららネットでは、子どもの発達について悩みを抱える保護者の相談に乗るなどサポートを行っている。今回もそのサポートの一環として説明会を開催した。

 説明会のスピーカーを務めたのは、悩みの深い家庭への相談経験が豊富な、家庭学習サービス事業責任者の佐々木章太さんと臨床心理士の道地真喜さん。

 まず、すらら総合窓口として毎年500名以上の保護者から相談を受けサポートを行う佐々木さんから、「KABC-Ⅱ検査サービスの紹介および検査結果の数値から読み取れる子どもに合った勉強法」に関する説明が行われた。

佐々木章太さん
佐々木章太さん

 「KABC-Ⅱ検査サービスは、WISC-Ⅳと並ぶ代表的な知能検査ツール。発達の傾向が気になる子どもを中心に病院や自治体で利用されています。発達障がいの子どもたちが増加している背景もあり、今注目の検査方法です」(佐々木さん)

 KABC-Ⅱの特徴として、以下が挙げられる。

  • 検査サービスとして唯一、基礎学力を測る学習習得度の評価を取り入れており、学習支援を目的として「認知尺度(どのような学び方が得意なのかを数値で判断できる)」と「学習尺度(今の基礎学力を数値で判断できる)」を測定することが可能。
  • 学習尺度で分かった弱点を、認知尺度で分かった得意な学習方法で克服するという支援が可能。

 保護者が、検査結果をもとに学校の先生に相談するケースもあるため、児童・生徒やその保護者と接する機会のある先生にとっても、基礎知識は押さえておきたい検査ツールだ。説明内容から、基礎知識および具体例について一部紹介する。

 KABC-Ⅱ検査サービスの検査結果は、認知検査と習得検査、それぞれ5つの計10個の尺度があり、平均点を100とした数値が算出される。100を超えているものは、それが得意分野であり100を下回っているものは不得意分野だと分かる。

K-ABCⅡ調査能力
K-ABCⅡ調査能力

 「特に注目すべきなのは認知検査項目にある『継次尺度』と『同時尺度』です。継次尺度が高い『継次タイプ』か、同時尺度が高い『同時タイプ』かによって、学習支援が大きく変わります」(佐々木さん)

 継次タイプの子どもは、通常学校で行われるような、順序立てた説明の学習スタイルが得意。授業の内容がなかなか頭に入ってこない子どもは、継次尺度が弱い可能性がある。

継次タイプの子どもに見られる特徴

  • 順序立ててものごとを考えるのが得意。
  • 部分から全体を見たり考えたりすることが得意。
  • 順序性をふまえた教え方をされるとよく分かる。
  • 耳から得た情報や言葉を手がかりにするとよく理解できる。
  • 時間的な手立てや分析するような解決方法を用いるとよく理解できる。

 一方、同時タイプの子どもは、答えや結論から教える学習スタイルが得意。答えから教えないと、答えが気になり、それまでの説明がなかなか頭に入ってこない子どもが多い。

同時タイプの子どもに見られる特徴

  • 全体から部分へ見たり考えたりすることが得意。
  • 何かと関連性をふまえた教え方をされるとよく分かる。
  • 情報を目で見たり、実際に取り組んでみたりするとよく分かる。
  • 空間的な手立てや統合的に考える方法を用いるとよく理解できる。

 継次タイプと同時タイプに合わせた学習方法のうち、例として漢字学習が紹介された。

継次タイプの場合

  1. 書き順に従い漢字の要素ごとに分けて示し、唱えさせる。
  2. 唱えながらなぞり書きをする。
  3. 唱えながら実際に書いてみる。

 「湖」という漢字を覚える場合は「さんずい」と「ふるい」と「つき」に要素を分解し、唱えながら反復練習すると覚えやすい。

継次処理型の漢字学習の例
継次処理型の漢字学習の例

同時タイプの場合

  1. 漢字が書かれたカードを最初に見せる。
  2. 漢字のうちどこか一片が足りない漢字を見せ、どこが間違っているか聞き細部まで見る力を鍛える。
同時処理型の漢字学習の例
同時処理型の漢字学習の例

 実際に、漢字の反復練習をしても全然覚えられなかった同時タイプの子どもが、漢字イラスト勉強法や一部欠け漢字の学習法に取り組むとすぐに成果が出て、自発的に漢字を学ぶようになった事例も紹介された。

 「『今までさまざまな学習教材や学習方法を試したが成果が出なかった』『今までの経験やネットの情報を調べても分からない』という方は、お子さまのポテンシャルを数値で把握し学習支援を行うことをひとつの選択肢として提案します」(佐々木さん)

 「KABC-Ⅱの検査結果があれば、子どもの特徴を知り家庭学習に活かせるだけでなく、学校などの教育現場でも、その子の得意・不得意を数値で把握でき、周りの大人が共通認識を持ちながら支援できるようになります」と締めくくった。

次のページ
HSCの子どもにどう接すればいいか?

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EdTechZine編集部(エドテックジンヘンシュウブ)

翔泳社が運営する教育ICT(EdTech、エドテック)の専門メディアです。EdTechZineでは、「学びたい」「教えたい」という意欲を持つすべての方に向けて、ICTを活用した次世代の学びに関する情報を多角的な視点で毎日提供します。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です


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