注目の「スポーツアナリティクス」で、学生がJリーグクラブの顧客増加策を提案!
スポーツのデータを収集・分析することで選手のパフォーマンスを上げたり観戦体験をさらに豊かにしたりできるスポーツアナリティクス。比較的新しい分野だが、政府は産業としてのスポーツ市場の拡大を成長戦略の一部に抱えている上、2019年のラグビーワールドカップ、2020年の東京オリンピック・パラリンピックと日本で大規模なスポーツイベントが控えており、注目度は高い。
JSAAが今回開催したスポーツ分析コンペティションは、日本でのスポーツアナリティクスの発展を目的に、大学生、大学院生、専門学校生を対象に行うもの。これまで、”スポーツアナリティクス甲子園”としてJSAAの年次カンファレンスの1企画として展開してきたが、応募数の増加などを受け今回名称をAnalytics Challenge Cup(アナチャレ)に変更、独立したイベントとして開催した。
今年のテーマは「データ分析を駆使してJリーグクラブの顧客数増加施策を提言せよ!」――データを提供する横浜F・マリノスの観客を増加させるための施策を考えるというものだ。9月に応募を行ったところ42チーム(人数にして100人以上)が応募、以下の10チームがエントリーの書類審査に合格した。応募数は昨年の倍近くだったという。
- 上智大学 TKチーム:金子和樹(上智大学)、田中登馬(早稲田大学)
- 同志社大学庄子ゼミチーム:松村明樹(同志社大学)、宮本航哉(同志社大学)、庄子博人(同志社大学)
- 熊本大学院・筑波大学・仙台大学 KTSチーム:山室 冴(熊本大学院)、スコット・アトム(筑波大学)、 山崎雄太(仙台大学)
- 筑波大学 真っ白チーム:岡本大河(筑波大学)、渡邉達也(筑波大学)
- 立命館大学 bulldogチーム:原 千優(立命館大学)、長谷川美南(立命館大学)、種子田穣(立命館大学)
- 大阪府立大学 渡邊ゼミチーム:筒井雅之(大阪府立大学大学院)、近藤弘記(大阪府立大学大学院)、渡邊真治(大阪府立大学)
- 東京大学大学院KTSチーム 鈴木雄登(東京大学大学院)、加藤辰弥(東京大学大学院)、高塚流星(東京大学大学院)
- 慶應・東洋大学 関口・掛田チーム:関口海斗(慶應義塾大学)、掛田涼輔(東洋大学)
- 上智大学院 横川チーム:松崎隼太 (上智大学大学院)、川島一浩(上智大学)、佐伯健太郎(上智大学大学院)
- 関東学院大学「チャリティースクラッパーズ」:黒田 侑(関東学院大学)、小松虎二郎(芝浦工業大学)
(敬称略)
エントリーを通過した10チームを対象に、10月に日本サッカー協会(JFA)本部でオリエンテーションを開催、提供されるデータやSAPが提供するツール「SAP Analytics Cloud」の使い方などの説明を受けた。
そしていよいよ11月3日朝、横浜F・マリノスのホームである日産スタジアムに集合した。この日のスケジュールは、スタジアムツアーなどを経て、14時キックオフのマリノス対FC東京の試合に来場する人に話を聞くフィールドワーク、そして夕方の分析作業だ。学生たちに提供されたのは、マリノスのデータ(個人が特定されないように処理された2016/17/18年のファンクラブのデータベースに入っている会員のインターネット上でのグッズ、チケットなど購買行動、スタジアム来場についてのデータ、公式サイトの会員ページにログインしたなどの履歴データ)だ。
アナリティクスツール「SAP Analytics Cloud」を使ってデータ分析を行うにあたり、SAPからはボランティアで約20人の社員が参加、メンターとして受け持ちチームに張り付き、方向性やプレゼンテーションへの広範なアドバイスを通じて学生を支えた。
4日の最終プレゼンテーションでは、10チームが順番に自分たちが考えた施策を披露した。持ち時間は15分。プレゼン資料を見せながら簡潔に説明する。
審査員は、SAPジャパンの岩渕 聖氏(Leonardo&Analytics事業本部部長 兼 スポーツ・イノベーション推進)、スポーツ庁参事官(民間スポーツ担当)付 参事官補佐 忰田康征氏、中央大学 理工学部 准教授で日本統計学会 スポーツ統計分科会の酒折文武氏、Jリーグデジタル 代表取締役社長 出井宏明氏、横浜マリノス株式会社 FRM事業部 担当部長 永井 紘氏、早稲田大学スポーツ科学学術院 講師/早稲田大学スポーツビジネス研究所 研究所員(幹事)舟橋弘晃氏、JSAA 代表理事の渡辺啓太氏の7人が務めた。