「口コミサイトを利用した新たな集客方法」
学習塾検索の専門サイト「ジュクサガス」
1人目の発表者は、地域密着型の学習塾を探す専門サイト「ジュクサガス」を運営する株式会社ジュウナナワーク 代表取締役の田口健吾氏。2017年9月に関西で設立後、各地域からの熱い要望を受けて2018年1月より全国へ展開している。その背景には生徒を募集する施策が抱える、費用対効果の問題がある。
塾が生徒を募集する方法として、現在はチラシやWebサイト、ブログ、地域誌、友だち紹介キャンペーン、SNSなどが一般的だ。近年では塾を紹介するポータルサイトも登場している。しかし、いずれも費用対効果が良くないとされている。とりわけポータルサイトは「資料を請求されたので電話をしたら、迷惑がられて面談すらできなかった」ケースがあるなど、10件近くの塾に一括で資料請求をされてしまうと1塾あたりの入塾率は極めて低くなるという。田口氏は「一般のポータルサイトでは、資料請求により課金される仕組みになっているため、入塾よりも資料を請求させるためのサービスになってしまっている」と説明する。
そこで「ジュクサガス」ではは「資料請求課金」をなくし、「完全入塾課金」の料金体系を設けた。つまり、利用者から反応があっても最終的に入塾しなければ費用は一切かからないということだ。そして問い合わせの動機となるのは、投稿された塾生や卒業生、保護者による口コミだ。口コミによって面談・入塾がかなえば口コミ投稿者に紹介お礼金が、そして入塾者にも入塾お祝い金がそれぞれ進呈される。
「友だち紹介キャンペーン」と構造的には同じだが、これまでのアナログの環境では「何人も紹介する度に何度も同じ話をしないといけない」のが難点だった。しかし、「ジュクサガス」なら「鉄板口説き文句」も口コミとして残り続け、友人だけでなく、知らない生徒にもアプローチできる。さらに在籍生だけでなく、過去に通塾していた生徒や保護者に協力してもらうことも可能だ。
田口氏は「気軽に利用できる入塾募集のルートのひとつとして、ぜひ導入を検討してほしい」と会場に呼びかけた。
「自立学習と学習管理の課題と解決」
学習管理アプリ「Studyplus for School」
続く2人目は、学習管理アプリ「Studyplus」を運営するスタディプラス株式会社 取締役COOの宮坂直氏。「Studyplus」は誰もが利用できる無料のアプリだが、塾や学校への導入に特化した「Studyplus for School」も用意されている。
宮坂氏はその活用の様子を動画で紹介した。まず、アプリを立ち上げて教材を選択し、学習継続時間を記録する。その記録を友だちや同じ志望校の受験生と共有し、モチベーション向上につなげる仕組みだ。「Studyplus for School」は2017年にローンチされ、一般ユーザー向けとの大きな違いは「塾講師のための共有画面」が提供されていること。代々木ゼミナールでは全生徒が活用しているほか、個別学習指導の学研スタディエやユニバースクールなどでも導入されている。
なぜ、そこまで塾における「自立学習」や「学習管理」が注目されているのか。まず、多くの塾の高校部門において定着率の問題がある。ほとんどの場合、中学からの持ち上がりで、部活やアルバイトの忙しさから辞めてしまったり、大手進学塾への転向があったり、継続させることができない。また一方で、大学生アルバイトの確保が難しく少人数で運営せざるを得ないため、講師の負担が増加しつつある。
そこで宮坂氏は「生徒を定着させるためには、通塾日以外の満足度を上げることが重要」と語る。さらに少人数でフォローするため、ICTの活用が有効というわけだ。宮坂氏は「運営が順調な塾は、自習室や面談ブース、休憩スペースを充実させている。そして、学習管理のために週1回の面談を行う、授業以外の時間はオンラインでのフォローを行っている」と分析。自立的に学習できる環境を提供するだけでなく、「目的としての自立学習」として、自分で学んでいく力を育む教育が求められているということだ。
宮坂氏は「『やり抜く力』を育むために高い目標を設定させ、その実現に向けた支援をすることが大切」と語る。そして「Studyplus for School」には「プランニング機能」、学習履歴をタイムライン形式で確認できる「タイムライン機能」、すべての生徒の学習時間や進捗などを確認し分析する「アナリティクス機能」、そして一人ひとりの記録を一覧できる「カルテ機能」など、やり抜くことを支援するための「学習PDCAを回し、支援する機能」が備わっているという。
たとえば「先週に比べて20%学習時間が減っている生徒」がいればアラートを上げてフォローを促進したり、LINEのようにメッセージで直接やり取りできる機能があったり、きめ細やかな対応が可能だ。なお、すべてのやり取りは監視されており、トラブルに対する警戒も万全だという。
こうした機能は、生徒のレベルやモチベーションに応じて活用方法が異なる。宮坂氏は再度「目的としての自立学習」のためのツールであることを強調し、締めの言葉とした。