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EdTechZineオンラインセミナーは、ICTで変わりつつある教育のさまざまな課題や動向にフォーカスし、最新情報をお届けしているWebメディア「EdTechZine(エドテックジン)」が主催する読者向けイベントです。現場の最前線で活躍されているゲストの方をお招きし、日々の教育実践のヒントとなるような内容を、講演とディスカッションを通してお伝えしていきます。

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特集記事(特別支援教育)

初めて特別支援学級を担当する際に知っておくべき「アセスメント」とは

 本記事では、発達障害の子どもが通う放課後等デイサービス向けにアセスメントシステムを提供する株式会社ヴィリングの代表 中村一彰と、同システムの共同事業者であり、障害児通所事業所を4拠点運営する株式会社みやとの作業療法士 小嶺一寿が、これまでの発達支援領域で培った知見をもとに、特別支援学級を担当する先生向けに役立つ情報をお届けします。ヴィリングは徳島県松茂町にてICT支援を通じて通級/支援級の先生とともに学習サポートにも取り組んでいます。みやとは保育所等訪問事業の一環で、地域小学校にて療育に取り組んでいます。このような公教育での活動の中、子どもの困り感の原因を把握する「アセスメント」が重要であると考え、若手の先生方にアセスメントの基本的な考え方や具体的な方法などを紹介してきました。本記事ではその知見・ノウハウの一部をご紹介いたします。

特別支援学級の担当になった初任の先生が困るポイント

 「ちょっと待って、アキラくん(仮名)!」

 廊下に響く先生の声。何が起きたのかと思って見に行くと、ADHDの特性を持つと思われる子どもが教室を飛び出すのを、若い先生が必死で止めようとしていました。先生は戸惑いながらも懸命に対応しており、子どもはイライラしているようでした。

 こうした場面に遭遇することは、特別支援学級を担当する先生にとって珍しいものではありません。特に新任の先生や、数年間交流学級を担当していた先生が、突然特別支援学級を任されることは少なくないのです。

 このような状況が生まれる背景には、2022年に文部科学省が「新しく採用された教員は全員、おおむね10年目までに特別支援学校や通級指導教室などで担任を経験することが望ましい」とする方針[※]を示したことがあります。また、特別支援教育を受ける子どもたちの数が増え、特別な支援を必要とする子どもたちのニーズがどんどん多様化していることも、こうした状況を生み出しています。

 その一方で、現場では教員の育成が追いついていないという現実もあります。教員が不足しているため新任の先生が特別支援学級を担当することが増え、必要な「知識や技術」を身につけるための時間や研修が不足しています。こうした背景から、若い先生方が個々の努力に頼らざるを得ない事態に追い込まれている状況が続いているのです。

 また、1年以内に退職してしまう先生が増えてきているとも言われています。東京都教育委員会の調査によれば、昨年度採用された新任教諭のうち、1年以内に退職した教諭が169人、全体の4.9%に上るという結果が出ています。これは過去10年間で最多の数字です。特に、特別支援学級を担当する若い先生方にとって、その負担は非常に大きく、離職の一因となっていることがうかがえます。

 では、特別支援教育に携わる若い先生方が直面する課題とは、具体的にどのようなものなのでしょうか。主に次の3つが考えられます。

 1つ目に個別対応の難しさがあります。特別支援学級では、一人ひとり異なる支援が必要です。例えば、知的障害、自閉症スペクトラム障害、ADHDなど、さまざまな障害特性に応じた指導が求められます。

 個別対応には、まず子どもの障害特性を理解することが不可欠ですが、これは一朝一夕で身につくものではありません。特別支援教育の専門性を持たない若い先生にとって、この個別対応の難しさは、大きなストレスとなりがちです。

 2つ目は、コミュニケーションの難しさです。特別支援学級では、保護者との連携が重要です。若い先生は保護者対応や連携に不慣れなことが多く、誤解やトラブルが生じることもあります。

 特に、保護者からの要望や意見に適切に対応するためには、十分な知識と高いコミュニケーションスキルが求められます。場合によっては、保護者との関係が悪化し、それが子どもへの支援にも影響を及ぼす可能性があるため、先生方には慎重な対応が求められます。

 3つ目が、先生自身の精神的な負担です。特別支援学級を担当する先生は、児童生徒の特別なニーズに応じるため、精神的な負担が大きくなることがあります。行動問題や感情のコントロールに関わることが多く、特に若い先生は対処しきれないことがあります。これが蓄積すると先生自身のストレスが増し、疲弊することもあります。

 特別支援学級を担当する先生が困ることが多い子どもの行動には、以下が挙げられます。

  • 授業中に着席できない、また、座っていても落ち着かない
  • 授業中に挙手するが、話が授業の流れとずれる
  • 授業中に指示に従わず、勝手に行動する
  • トラブルを起こしても、また同じことを繰り返す
  • 友だちが嫌がることを言う
  • 学習内容がなかなか定着しない
  • 蹴る、叩くなどの粗暴な行動が見られる

 このような行動に日々対処する中で、先生方は大きな精神的負担を感じることがあります。特に、子どもたちの行動に改善が見られない場合、先生は「自分の指導が本当に役立っているのか」という不安を感じ、自信を失うこともあります。さらに、この不安感は先生自身のモチベーションの低下につながる場合もあります。

[※]出典:文部科学省「特別支援教育を担う教師の養成の在り方等に関する検討会議 報告」P.13

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「アセスメント」とは何か

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この記事の著者

中村 一彰(株式会社ヴィリング)(ナカムラ カズアキ)

 株式会社ヴィリング 代表取締役。  教育学部を卒業後、大手とベンチャーの2社に勤務したのち、教育事業を行う株式会社ヴィリングを2012年に創業。STEAM教育スクール「STEMON(ステモン)」、放課後等サービス向け療育教材「すてむぼっくす」、発達障害AIアセスメント「co-mii」、バイリ...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です


小嶺 一寿(AIセラピストco-mii 開発者)(コミネ カズヒサ)

 株式会社みやとの作業療法士。療育センターや福祉の児童分野で16年以上の経験を持ち、放課後等デイサービスや保育所等訪問支援に携わる。自治体や公的機関との共同プロジェクトにも参加し、研修会の主催や講師として、療育の現場で幅広く活躍。学校の先生向けに療育支援についての講義も行い、福祉と療育の発展に尽力し...

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