eboardは、通信制・定時制高校の生徒を対象にした、映像授業の制作を開始したことを5月28日に発表した。今回の映像授業の制作は、SMBCグループライジング基金からの寄付によって行われ、高校課程の数学・英語の映像授業について今春より順次公開を進めている。
現在制作されているのは、高校課程の数学・英語における基礎レベルの映像授業になる。同法人の提供するICT教材「eboard」を利用中の通信制・定時制高校へ、ヒアリングを行いつつ制作されている。
映像授業制作の背景としては、通信制・定時制高校に通う生徒が抱える経済面や学業面での困難がある。定時制の生徒のうち、欠損データを除いた約半数が生活困難層というデータがある(出典:阿部彩「定時制・通信制高校生の貧困」2022,東京都立大学 子ども・若者貧困研究センターWorking Paper Series Vol.27)。さらに中退率を全日制高校と比較すると、通信制は3.8倍、定時制は7.6倍となり、その理由は「学校生活、学業不適応」が最多となっている(出典:文部科学省「令和4年度児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果」)。高校中退はその後の就業や収入などに大きく影響するため、高校教育環境の充実が欠かせない。
そこで同法人では、これまでの小中学生向け教材制作のノウハウを活かして、高校向けの映像授業制作を開始し、ミッションである「学びをあきらめない社会の実現」に向けた取り組みを継続していく。
なお、映像授業には、小中学生向けの映像授業と同様に「やさしい字幕」を付けることで、国内で唯一字幕による機会保障を実現する。
「やさしい字幕」は、ろう・難聴の子ども、外国につながる子ども、学びの困りごとを抱えた子どもをおもな対象に、学習のハードルが下がるように編集された。「やさしい日本語」の考えを元にしつつ、字幕の表示量の調整、言葉や文章構造の簡素化、学年や教科別の表示工夫などの編集を行っている。
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