COMPASSは、慶應義塾大学SFC研究所の上席所員(常勤)中室牧子氏(総合政策学部 教授)と連携した、「ICTを活用した学びにおける児童生徒および教員への影響に関する研究」の第2弾として、大阪府東大阪市の小学校でQubenaの活用による学力向上への影響についての効果検証を実施したことを、12月19日に発表した。
大阪府東大阪市は、ICTを活用した教育の推進に関する基本方針として「個別最適な学び」「つながり互いに高めあう学び」「創造し、表現する学び」という3つの目標を掲げている。目標のひとつである「個別最適な学び」の充実に向けた取り組みとして、同市は2022年4月からCOMPASSが開発・提供している学習eポータル+AI型教材「Qubena」を市内の全市立小中学校に導入し、学校内外での日々の学習に活用している。
さらに同市では、「客観的な根拠を重視した教育政策の推進(EBPM)」に取り組んでおり、市内小学校における「Qubena」の活用について、慶應義塾大学SFC研究所の中室牧子氏とCOMPASSが連携して進めている「ICTを活用した学びにおける児童生徒および教員への影響に関する研究」の一環として、効果検証を実施した。
効果検証の実施対象は、東大阪市の全市立小学校4~6年生(2022年4月~12月時点での学年)計1万148名で、対象科目は算数と国語。実証期間は2021年12月~2022年12月(「Qubena」の利用時間は2022年4月~12月)となっている。
検証では、対象児童の2021年12月と2022年12月における「東大阪市標準学力調査」2回のテスト結果を事前・事後テストとして使用。2回のテストの間の期間(2022年4月~12月)に利用された「Qubena」の学習ログを収集した。学習ログは、利用頻度・問題解答数・時間帯・機能・使用した時間・取り組み方・取り組み結果といった、計21項目を対象としている。学習ログの21項目と事前事後テストの学力の変化の相関を、教科ごとに回帰分析によって検証し、各指標が示す「Qubena」の活用状況の差が児童の学力の向上に与える影響を調査している。
検証の結果、学年・教科共通で「Qubena」を利用した児童に学力向上の傾向がみられた。あわせて、学習ログ21項目の中でも「利用頻度」と、「Qubena」独自の「習熟度」指標の項目に学力向上との相関がみられ、1週間あたりの「利用頻度」が高くなるほど、また「習熟度」が高くなるほど学力向上につながる傾向がみられた。
この結果から、学力向上の目的で「Qubena」を活用する場合は、「学習頻度」と「習熟度」の向上を重要指標とすることが効果的だと明らかになった。
同検証結果の詳細は、2024年1月20日13時30分~17時(予定)にCOMPASSが開催する、教育関係者を対象にしたオンラインイベントにて発表される。なお、同イベントには東大阪市教育委員会と東大阪市立花園北小学校の関係者が登壇する。
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