スタディプラスは、令和4(2022)年度の経済産業省「未来の教室」実証事業(「教育データ利活用」に関するテーマ)の成果報告レポートを、5月25日に公開した。同実証では、学校および民間教育機関と協力し、教育機関向け学習管理プラットフォーム「Studyplus for School」を通じて、個別最適な学びの実現に向けたスタディログの一元化、および利活用に関する調査・検証を実施している。
同実証では、「Studyplus for School」を導入しているクラーク記念国際高等学校 横浜青葉キャンパス(神奈川県横浜市)や、石川高等学校(福島県石川郡)などに通う生徒を対象に、複数のEdTechサービスをLMS(Studyplus for School)に連携し、サービスを横断した学習計画策定および学習進捗を把握し、検証を進めた。
学校・民間教育機関の双方を利用する生徒に、スタディログ一元化の利用意向についてアンケート調査を実施。それによると、「学習の振り返りの効率化」と「情報共有の省力化」にメリットを感じ、8割以上が学習記録を一元化する意向を示している。
教育機関向けの調査では、進学支援機能を抱えていない通信制の学校がスタディログの一元化に好意的な意向を示している。また民間教育機関では生徒の学校での学習内容を考慮しながら指導を改善・調整できるため、約9割の学習塾の教員が好意的な意向を示した。
一方で、生徒が学内外でのデータ流通に前向きであるのにもかかわらず、学校を中心に慎重な意見がみられる。スタディログは生徒自身が持つべきものであり、本人にデータを渡して本人が提供先を選べる状態(データオーナーシップの移管)が本来の姿となるが、生徒が未成年であることから、安心安全なデータの流通手段の確立が必要不可欠といえる。
また、3つ以上のデジタル教材とLMS(Studyplus for School)を導入している、クラーク記念国際高等学校 横浜青葉キャンパスと、石川高等学校においては、学校内外での学習記録付けやデジタル教材の利用、学習ログに基づく学習指導等を行う実証を実施している。
実証の開始時と終了時に実施した生徒向けのアンケート調査では、「学習計画・記録の習慣化」や「学習への主体的な取り組みの創出」といった変化がみられ、生徒の自己調整学習が促進される可能性を示す結果を得られた。
教員側では、LMS導入によって「各デジタル教材の活用状況のモニタリング負担軽減」のメリットが得られた。さらに、スタディログが蓄積された場合には「指導改善」「主体性評価の参考資料としての活用」「教員間での情報共有コストの削減」の効果も得られることが明らかになっている。
一方で、手動記録負担の軽減、教員のデータ活用オペレーション面での課題解消、スタディログがない生徒が不利益を受けないための対策などが課題として挙げられた。
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