SHOEISHA iD

※旧SEメンバーシップ会員の方は、同じ登録情報(メールアドレス&パスワード)でログインいただけます

EdTechZineオンラインセミナーは、ICTで変わりつつある教育のさまざまな課題や動向にフォーカスし、最新情報をお届けしているWebメディア「EdTechZine(エドテックジン)」が主催する読者向けイベントです。現場の最前線で活躍されているゲストの方をお招きし、日々の教育実践のヒントとなるような内容を、講演とディスカッションを通してお伝えしていきます。

次回のオンラインセミナーは鋭意企画中です。準備が整い次第、お知らせいたします。

EdTechZineオンラインセミナー

EdTechZineオンラインセミナー

EdTechZineオンラインセミナーは、ICTで変わりつつある教育のさまざまな課題や動向にフォーカスし、最新情報をお届けしているWebメディア「EdTechZine(エドテックジン)」が主催する読者向けイベントです。現場の最前線で活躍されているゲストの方をお招きし、日々の教育実践のヒントとなるような内容を、講演とディスカッションを通してお伝えしていきます。

小学生からのデータリテラシー教育を考える

小学生からのデータリテラシー教育──実践ワークショップから浮かび上がった課題と期待とは

小学生からのデータリテラシー教育を考える 第1回

 小学校の学習指導要領に「データ活用」が盛り込まれるようになった。データ活用は多くの企業が試行錯誤しながら取り組んでいるテーマでもある。教育現場から企業まで、データ活用やその基礎となる「データリテラシー」には、今どのような課題が存在しているのか。北海道ハイテクノロジー専門学校でデータリテラシー教育に携わり、現在は学研ホールディングスで企業内でのデータ活用推進に取り組んでいる横尾聡氏に話を聞いた。

日本で「データリテラシーに自信がある」と回答した人は世界平均の半分以下

──まずは自己紹介と、北海道ハイテクノロジー専門学校でデータリテラシー教育に関わることになった背景を教えてください。

 横尾聡です。学研ホールディングスに所属し、学研グループ全体のマーケティング支援に従事しています。かつてはIT企業や事業会社でさまざまな職種を経験しました。IT企業在籍時にはデータ活用コンサルタントをしていたこともあります。

 北海道ハイテクノロジー専門学校でデータリテラシー教育に携わることになったのは、医療情報の学科においてデータ分析についてのカリキュラムを作りたいとご相談いただいたことがきっかけでした。テキストの編集から取り組み、先生や学生の反応を通じて痛感したのは「データリテラシーを学ぶには専門学校からでは遅い」ということです。

 加えて現状の企業を見渡しても、所属する社員のデータリテラシーはまだまだ低いと言わざるを得ません。データリテラシー教育をするのであれば、早い段階から取り組む必要があると考えています。

──データリテラシーの低さというのはどのようなところで見受けられますか?

 日本企業には「レポート文化」があります。古い言い方だと帳票です。定型的なレポートだけでビジネスを判断する文化が根付いていて、定型的な見方に偏ってしまいます。視点を変えてデータを見る、そして活用するといった発想を持つことができていません。

──グローバルで実施した調査[※1]によると「自分はデータリテラシーに自信がある」と答えた人は世界平均が21%でしたが、日本は半分以下の9%でした。

 今でこそ「データ活用はビジネスに不可欠」と経営層も考えるようになりましたが、グローバルで比較するとデータ活用のスキルに自信を持てる人は少ない状況です。

──先のレポート文化では、合計や決まった集計結果を見て「終わり」で、多角的に分析してインサイトを得て、深掘りすることは求められていないですね。よく日本では「KKD:勘と経験と度胸」と言われます。

 ご指摘の通りです。私が講師として2022年の夏に実施した、小学生向けのワークショップ(編集部注:後半で詳述)で実際に教材に使っていた素材を例に説明しましょう。

 この教材では水産庁が出している海面漁業漁獲量の推移を用いており、それぞれ表とグラフで表しています。グラフのほうが一目瞭然で、数秒でインサイト(洞察、発見)が得られます。マイワシが急速に伸びているとか、サバは2018年から下降しているとか、すぐに判断できます。

データから読み取ってみよう(ワークショップの教材より引用)
データから読み取ってみよう(ワークショップの教材より引用)

 しかし表の数字だけを長々と見ていてもわかりません。日本はこのような表の数字だけを見ることに慣れてしまっています。数字を追いながら何が起きているのかを知るには時間がかかるのです。これでは膨大な時間を無駄にしているとも言わざるを得ません。多くの人にはグラフで見るという習慣がないのです。

──グラフにすることで「ここが伸びている」などと、インサイトを得ることができれば「では次に○○をしよう」とアクションにつなげられますよね。ビジネスでも数字やデータに基づいて行動することが重要で、常にこうした点を意識することが大事なのではないでしょうか。

 おっしゃる通りです。表を見るだけで満足してしまいグラフ化(視覚化)しない、視覚化してインサイトを得るという習慣がないことがまず課題として挙げられるでしょう。

[※1]Qlik「データリテラシーによる人への影響 データの民主化、生産性の向上、および労働力の強化を図るためのリーダ向けガイド レポート2020」P.5、P.7より

次のページ
データには「軸」と「メジャー」がある──データ分析はこれらの組み合わせ

この記事は参考になりましたか?

小学生からのデータリテラシー教育を考える連載記事一覧
この記事の著者

吉田 一貫(クリックテック・ジャパン株式会社 マーケティング本部長)(ヨシダ イッカン)

 東京大学教養学部イギリス科卒業、ロンドン大学ゴールドスミスにて修士課程修了。  ジャストシステムにて「一太郎」等の開発に関わったのち、Apple、シマンテック、ビジネスオブジェクツでプロダクトマーケティング、Evernote、Cloudera等でPRとマーケティングを統括。2019年6月より現職...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です


この記事をシェア

EdTechZine(エドテックジン)
https://edtechzine.jp/article/detail/8839 2023/02/24 07:00

おすすめ

記事アクセスランキング

記事アクセスランキング

イベント

EdTechZineオンラインセミナーは、ICTで変わりつつある教育のさまざまな課題や動向にフォーカスし、最新情報をお届けしているWebメディア「EdTechZine(エドテックジン)」が主催する読者向けイベントです。現場の最前線で活躍されているゲストの方をお招きし、日々の教育実践のヒントとなるような内容を、講演とディスカッションを通してお伝えしていきます。

新規会員登録無料のご案内

  • ・全ての過去記事が閲覧できます
  • ・会員限定メルマガを受信できます

メールバックナンバー

記事アクセスランキング

記事アクセスランキング