はじめに
私は、2018年の秋に大阪で行われたMicrosoft認定教育イノベーターエキスパート(MIEE)のキックオフミーティングで初めてFlipgridに出会い、「これは授業デザインを変えるキラーコンテンツになる!」と衝撃を受けました。懇親会の会場では、ほとんど誰とも交流せずスマートフォンでFlipgridをいじり倒し、2次会にも行かずにホテルに戻り、夜遅くまでいろいろなことを試しました。
地元の青森に戻ってからすぐに、寄せ集めの端末でFlipgridを使った授業を行って以来、私の授業には必要不可欠なサービスとなりました。
日本語化されていないサービスであるため参考となる情報が乏しく、翻訳アプリを駆使しながら、まずは自分の理解のために解説動画と解説サイト、ガイドブックをつくりました。
新型コロナウイルス感染症対策により全国一斉休校となった際は、Flipgridを使って3月2日の休校初日から学校と家庭をつなぎ、学びを継続させました。
Flipgridはどのようなツールなのか
Flipgridは提示された課題に対して、動画でレスポンス・コメントを行う、動画を使った教育用SNSです。元々は有料で提供されていましたが、Microsoftによる買収後は無料で使えるようになりました。
動画の保存容量は無制限、保存期間も無期限です。サービスが存続する限り使えると言っていいでしょう。
実際の活用場面では、まず教員が「トピック(課題)」を作成します。トピックにはタイトルと内容説明が必須で、必要に応じて動画や画像を追加することができます。
児童生徒はトピックを確認し、それに対するレスポンス動画を撮影して投稿します。その後、レスポンス動画に対して教員やほかの児童生徒がコメント動画を撮影して投稿します。コメントが盛り上がっているレスポンス動画があれば、それを新たなトピックに格上げして、さらに深掘りしていくこともできます。
セキュリティ面は大丈夫?
動画を使ったサービスであるため、児童生徒の個人情報や肖像権の問題を心配される方も多いでしょう。
Flipgridは、最初から教育用を想定した動画共有サービスであるため、セキュリティはかなり堅牢につくられています。
サービスを利用するにはGoogleかMicrosoftのアカウントが必要です。投稿できる児童生徒はグループをつくって管理し、その際、ドメイン単位でアクセスを制限することができます。トピックごとにアクセス権を設定することも、トピックにアクセスできる期間や、公開される期間を設定することも可能です。
ほかの学校など、外部とのコラボレーションが難しそうに感じるかもしれませんが、そんなことはありません。誰でもアクセスして投稿できるトピックを作成することや、ゲストアクセスパスワードを設定して、外部の限られた人だけが参加できるようにすることもできます。
それでも、児童生徒が顔を出した動画を投稿することに抵抗がある方もいるでしょう。Flipgridは動画を撮影する際にモザイクをかけたりステッカーを貼ったりして、顔を隠すことができます。
このように、セキュリティについては2重、3重の対策がとられているので、誰でも安心して使うことができるのです。