⽇本⼥⼦⼤学は、2028年4月に「人間科学部(仮称)」の開設を予定(構想中)し、準備を進めていることを、10月9日に発表した。この構想は、創立120周年を機にスタートした大学改革の一環となる。
同学は、2023年4月に「国際文化学部」、2024年4月に「建築デザイン学部」「建築デザイン研究科」、2025年4月に「食科学部」と3年連続で新学部・研究科を開設した。2027年4月には「経済学部(仮称)」および「食科学研究科(仮称)」の開設を構想しており、今回の新学部はそれに続くものである。
「人間科学部(仮称)」は、現在の「人間社会学部心理学科」を前身とした「心理学科(仮称)」と、「家政学部児童学科」を前身とした「人間発達学科(仮称)」からなる1学部2学科で、同学初の学部横断による新学部となる。文理融合的な視点から人間を科学的に研究し、理論と実践を行き来しながら、「人を知り、人に寄り添い、人を活かす」姿勢を持ち、人間社会の持続的な発展に貢献できる力の養成を目指していく。
「人間科学部(仮称)」では、AIやVR(仮想現実)などの技術革新が急速に進み、現実と仮想の境界が曖昧になりつつある現代社会において、「人間とは何か」という根源的な問いに挑む。

新学部では、両学科の共通科目として「人間科学入門」「人間科学演習」などの基盤科目に加え、「アート×サイエンス・プログラム」「メンタルヘルス・マネジメントプログラム」「人間科学実践科目」などの特色ある幅広い学びを展開する予定。科学的探究と実践的アプローチという両輪で「視覚芸術×サイエンス」「音楽×サイエンス」「身体表現×サイエンス」「健康×サイエンス」といった文理複合的なテーマに迫ることができるのは、両学科がそろっている「人間科学部(仮称)」の特徴である。これらの学びを通じて、未来を見据え、人間と社会のウェルビーイングの実現に寄与する人材の育成を目指していく。
例えば、「アート×サイエンス・プログラム」では、芸術を感性や創造性、表現といった観点から科学的に分析し、人間の感情や認知との関係性を探求してきた「人間社会学部心理学科」と、実践的な芸術分野や表現活動を成長支援の手段に取り入れ、表現力や感性を育む教育的アプローチに強みをもつ「家政学部児童学科」の特徴を掛け合わせることで、科学的探究と実践的アプローチという両輪で「芸術と人間」の関係に迫る(科目・プログラム名はすべて仮称、構想中)。

学科の学びの特徴は次のとおり。
人間科学部 心理学科(仮称)
心の働きの普遍的な側面を科学的に探究する。文系的アプローチだけでは困難であった実験的・科学的手法を積極的に取り入れ、「人工知能(AI)」に関する新たな科目も設置することで、現代社会が抱える複雑な課題にも対応できる人材の育成を図る。
人間科学部 人間発達学科(仮称)
人間の成長や発達のプロセスを多角的に探究する。児童学を基盤に据えながら、科学的・共感的な人間理解や全人的な対人支援の力を高めていく。さらに、現場におけるフィールドワーク、企業との連携科目などを通じて、社会学や経営学にも関心を持つ新たな学びのニーズにも応えるとともに、国際交流・海外研修なども推進する。
また、新学部では、専門的な資格取得を目指すスペシャリストの育成に加え、人間科学に関する広い知見と応用力を備えたジェネラリストも育て、企業・行政など多様な社会の場で活躍できる人材を輩出することを目指す。
取得を目指す資格と、新学部の構想は次のとおり。
取得を目指す資格(予定)
- 心理学科(仮称):認定心理士、公認心理師(学部+院)、臨床心理士(院)、産業カウンセラー、ほか
- 人間発達学科(仮称):保育士、幼稚園教諭一種※、中学校・高等学校教諭一種(家庭)※、ほか
- ※は申請予定。ただし、文部科学省における審査の結果、予定している教職課程の開設時期などが変更となる可能性がある
新学部の構想
- 学部名称:人間科学部(仮称)
- 学科名称:心理学科(仮称)、人間発達学科(仮称)
- 入学定員:心理学科(仮称)81名、人間発達学科(仮称)97名
- 開設時期:2028年4月(予定)
- 開設場所:日本女子大学 目白キャンパス
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