共通テストの受験科目となる「情報I」。高校1年生の科目としてどう教えるのか
鎌倉学園は、2021年に創立100周年を迎えた、鎌倉の禅寺建長寺に隣接した男子高校です。「礼義廉恥」という校訓のもと、「自主自律」の禅の精神を現代に受け継ぎ、「知・徳・体」のバランスの取れた人間形成を目指した教育を行っています。学習だけでなく、クラブ活動、生徒会活動にも力を入れており、激動の21世紀で活躍するための人間力のある人材の養成に努めています。
ICT活用については、2013年の校舎改修のタイミングでWi-Fi環境の整備、全クラスへのプロジェクターの導入を行い、2016年からGoogle Apps for Education(現Google Workspace for Education)を導入しました。3年前の新入生からChromebookを導入しており、現在は全学年1人1台体制となりました。
筆者のもともとの担当教科は美術でしたが、現在は高校1年生の情報Iを担当しています。情報Iでは、ティームティーチングの体勢をとっており、単元によって担当教員を変更して進めています。情報Iは、現在の高校2年生が受験を迎える2025年度入試から、大学入学共通テストの入試科目になることが決定されており、ますます重要な科目になっていくことが予想されます。
ここでは、私が担当している「情報デザイン」の単元を中心に紹介します。情報Iの単元の一つである情報デザインでは、社会の問題を発見し、その問題に対してデザインを使って解決していくための方法を学んでいきます。
ツールの習熟度合いは教員によって異なる。他校も含めた勉強会で切磋琢磨
生徒に教えるにあたって、教員のツール習熟度合いは授業の質を左右します。筆者は、学校の教員になる前にデザイナーとして働いていたことから、Adobe Illustratorなどのデザインツールを使っていました。ただ教育の現場で教えるとなると、自分で使うのとは少し違うので、学び直すことになりました。
筆者は、2019年から4年連続でAdobe Education Leaderの認定を受けています。教育現場での活用方法を学ぶには、認定教員のコミュニティにおける他の学校の先生方との勉強会や情報交換が非常に役立ちました。お互いにどう活用しているのかを共有しながら、切磋琢磨しています。
また、Adobe Education Exchangeには、授業に使えるアイデアや授業の進め方など、さまざまなリソースがまとまっています。筆者も授業構成を考える時にレッスンプランを参考にしていますし、「こんな使い方があるのだな!」という新たな発見にもつながっています。Adobe Expressについては、特にAdobe Creative Educator レベル1コースが参考になりました。
なお、学校内の教員のツールの習熟度は人によって異なるというのが実情ではないでしょうか。鎌倉学園には筆者以外にも、動画の制作に興味がありPremiere Proが得意な人、写真加工に使うためPhotoshopが得意な人など、興味関心に合わせて使いこなしているようです。学校内の教員のツール習得については教員からのリクエストをもとに定期的に教員研修を実施しています。