OECD(経済協力開発機構)は、生徒の学習到達度を調査するため、学校制度の質や公平性、効率を国際的に評価する「PISA2018」を実施し、その結果を12月3日に発表した。
OECDの学習到達度調査「PISA(Programme for International Student Assessment)2018」は、79カ国・地域の15歳の生徒約60万人を対象に、「読解力」「数学的リテラシー」「科学的リテラシー」のテストを実施。特に今回は「読解力」に焦点が当てられており、ほとんどの生徒がコンピュータを使って回答している。
今回は3分野の中でも「読解力」にフォーカス、日本は過去最低の結果に
日本は、「読解力」が504点、「数学的リテラシー」が527点、「科学的リテラシー」が529点という結果になった。読解力では、中国の北京・上海・江蘇省・浙江省が最も高く、次いでシンガポールの点数が2番目に高かった。一方、日本の成績は前回の調査(2015年)より12点低下した15番目(各国中)で、過去最低となった。
また、OECD諸国の生徒10人に約1人、シンガポールの生徒の4人に1人が、「読解力」で最高水準の成績に達している。しかし、同時に、社会経済的に恵まれている生徒と恵まれていない生徒との格差も明らかになり、OECD諸国の最も豊かな生徒の「読解力」は、最も貧しい生徒の約3学年分進んでいることが分かった。そのほか、OECD諸国の中でトップだったのはエストニアやカナダ、フィンランド、アイルランド。
「科学的リテラシー」と「数学的リテラシー」の成績
OECD諸国平均で生徒の約4人に1人が、科学(22%)または数学(24%)の基礎レベル(例えば、ある価格を他の通貨に換算することなど)を身につけていないこと分かった。中国の北京・上海・江蘇省・浙江省の生徒の約6人に1人(16.5%)と、シンガポールの生徒の7人に1人(13.8%)が「数学的リテラシー」において最高水準の成績で、OECD諸国全体ではこのレベルに達した生徒はわずか2.4%となっている。
なお、日本では、「数学的リテラシー」が今回各国中6番目で、平均得点は2003年から2018年まで安定して推移している。「科学的リテラシー」は各国中5番目となっており、前回の調査(2015年)同様、世界トップレベルを維持している。
3分野の結果から見える男女差、将来の職業について異なる期待も
また、OECD諸国平均で、「読解力」は女子の方が男子より成績が良く、その差はほぼ1学年分に等しい。世界全体では、男女差が最も小さかったのはアルゼンチンや中国の北京・上海・江蘇省・浙江省、チリ、コロンビア、コスタリカ、メキシコ、パナマ、ペルー。男子は「数学的リテラシー」において女子よりわずかに成績が良かったが、「科学的リテラシー」では女子より劣る結果となった。
また、男子生徒と女子生徒では、将来の職業について異なる期待を抱いていることが分かった。成績上位の男子の4人に1人以上は、エンジニアや科学者になりたいと回答したのに対して、女子で同様の回答をしたのは6人に1人未満だった。また、成績上位の女子のほぼ3人に1人が、医療関連の専門職に就きたいと回答している。これに対し、男子で同様の回答をしたのはわずか8人に1人だった。
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