Gemを新規で作成する
作成するGemの役割とゴールを構想する
続いて、Gemを新しく作成してみます。まずは「どのようなAIを作りたいか」をイメージしましょう。 具体的には、AIにどのような「振る舞い」をさせたいかをイメージします。例えば、相手は小学校5年生であること、敬語ではなく親しみやすい「です・ます」調で話すこと、児童の意見を否定せずに問い返すこと、そして答えを教えすぎないことなどが挙げられます。このように、あらかじめ「やってほしいこと」と「やってはいけないこと(禁止事項)」を整理しておくことが、実用的なGemを作るためのコツです。
とりあえず簡単なGemを作る
ゼロから作成したい場合は、Geminiの左サイドバーで「Gemを表示」をクリックして「Gemを作成」をクリックします。
設定画面では、まず「名前」と「説明」を入力します。次に「カスタム指示」の欄に役割やルールを入力します。タグや記号などをつけず、普通の文章で入力してかまいません。入力が終わったら鉛筆アイコンをクリックすると、Geminiがプロンプトを書き換えてくれます。
カスタム指示ができたら、右側のプレビューで、実際に入力して反応を確認しましょう。イメージ通りの反応が返ってきたら右上の「保存」をクリックしましょう。
GeminiとチャットしながらGemを作る
ゼロからGemを作る場合も、Geminiと相談しながら作れば、高度なGemを簡単に作成できます。ここでは例として、「子どもたちが日本語を入力したら、ネイティブが使うような自然な英文と、発音しやすいカタカナ読みを表示してくれるGem」を作ってみましょう。
思考モードで「Gemの設計図」を作ってもらう
まず、Geminiを開き、チャット欄の右下で、モデルを「思考モード」に変更します。生成AIで精度の高い結果を得るには、見出しや区切り線などの機能を使って構造化するとよいと言われていますが、最初はそこまで考える必要も余裕もないと思います。最近の生成AIは自然言語でプロンプトを入力しても、かなりの精度で意図を読み取ってくれます。慣れてきたら構造化を意識するとよいでしょう。
チャット欄に、
以下のようなGemのカスタム指示のプロンプトを作ってください。
「子どもたちが日本語の文章を入力したら、ネイティブが使いそうな自然な英文にして表示する」
と入力します。送信してしばらく待つと、GeminiがGem用の詳細なカスタム指示のプロンプトを生成してくれます。
その場でシミュレーションと改良を行う
生成されたプロンプトをすぐにGemに設定するのではなく、まずはこのままGeminiのチャット画面で動作確認(シミュレーション)を行います。
チャット欄に、
このプロンプトを使って、あなたがGemとして動いてください(シミュレーションしたい)
と入力すると、Geminiのチャット内でGemを試すことができます。実際に日本語で「お腹すいた」などと入力して、英文とカタカナが表示されるか確認しましょう。
プロンプトを改良する
生成された結果がイメージしたものと違うときや、改善したいことがある場合は、追加のプロンプトを送信しましょう。
例えば、ただのカタカナ読みだけでは物足りないと感じたら、
普通のカタカナ読みのほかに、ネイティブのようなリンキングと省略音を意識したカタカナ読みも表示できるようにプロンプトを修正してください
と入力して送信します。
生成されたらシミュレーションを行い、動作確認しましょう。これを繰り返していくと、徐々に自分のイメージに近いGemになっていきます。
ここで重要なのは、一度に多くの変更内容を送信せず、スモールステップでひとつずつ解決していくことです。まとめて記入する場合は構造化が必要となります。慣れるまでは、焦らずに一つずつ解決していきましょう。
完成した指示をGemとして保存する
納得のいく動作になったら、Gemとして保存します。チャット欄に表示されている、修正済みのプロンプト(コードブロックになっていることが多いです)の「コードをコピー」をクリックします。
左サイドバーの「Gemを表示」をクリックして「Gemマネージャー」を開き、「Gemを作成」をクリックします。「カスタム指示」の欄に、先ほどコピーしたテキストを貼り付けて、名前と説明を入力します。
プレビューで最終確認
保存前に、右側のプレビューウィンドウで最終チェックを行います。ここでは動作が軽く、実際に子どもたちが使う「高速モード」に切り替えます。英語にしたい日本語を入力し、期待通りに「英文」「普通のカタカナ」「ネイティブ流カタカナ」が表示されれば完成です。
保存と公開
動作確認が終了したら「保存をクリック」します。「チャットを開始」をクリックすれば、いつでも呼び出せる英語の先生の誕生です。
左サイドバーの「Gemマネージャー」を開き、共有したいGemの共有アイコンをクリックして、一般的なアクセスの権限を「閲覧者」に設定して「リンクをコピー」をクリックします。コピーしたリンクを「Google Classroom」などで子どもたちに配付しましょう。
継続的にGemを育てていく姿勢を持つ
このように、「思考モードで相談」→「その場でシミュレーション」→「Gemに移植」というステップを踏めば、プログラミングの知識がなくても、超絶簡単に高機能なツールを作ることができます。
一度作成したGemは、完成形ではありません。実際に授業で使ってみると「もっと短く返してほしい」「ときどき難しい言葉が混ざる」といった新たな課題が見つかるはずです。
そんなときは、いつでもGemマネージャーから「編集」を行うことができます。その際、自分でプロンプトを編集するのが不安な場合は、プロンプトをコピーしてGeminiに貼り付け、チャットでやり取りしながら修正していきましょう。授業の後に少しずつ指示文を書き換えたり、よい回答例を追加したりすることで、Gemはどんどん賢く、使いやすくなっていきます。あまり気負わずに「まずはプロトタイプ(試作品)」という気持ちで運用を始めてみてください。そして、よいGemができたら、ぜひ公開して私にも使わせてください。楽しみに待っています。
私のYouTubeチャンネルでは今回の手順を動画でも解説しています。こちらもぜひご覧ください。
