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EdTechZineオンラインセミナーは、ICTで変わりつつある教育のさまざまな課題や動向にフォーカスし、最新情報をお届けしているWebメディア「EdTechZine(エドテックジン)」が主催する読者向けイベントです。現場の最前線で活躍されているゲストの方をお招きし、日々の教育実践のヒントとなるような内容を、講演とディスカッションを通してお伝えしていきます。

次回のオンラインセミナーは鋭意企画中です。準備が整い次第、お知らせいたします。

EdTechZineオンラインセミナー

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生徒主体で運営するメディア「N/S高新聞」制作の現場から

「いい記事ってなんだろう?」S高の生徒が、「note」の中の人と考える課外授業をレポート

生徒主体で運営するメディア「N/S高新聞」制作の現場から 第2回

 角川ドワンゴ学園 N高等学校およびS高等学校では、Webメディア「N/S高新聞」を生徒が主体となって運営しています。本連載ではN/S高新聞実行委員の生徒自身が、同校の取り組み、特にテクノロジーを活用した学びについて紹介していきます。第2回では、N/S高新聞実行委員会による、note株式会社の中野麻衣子さんをゲストに招いた「読みたくなる文章」について考えるイベントのレポートをお届けします。(編集部)

はじめに

 角川ドワンゴ学園が2016年に開校したN高等学校、ならびに2021年に開校したS高等学校(以下、N/S高)で始まった「N/S高新聞」。2022年の2月から「N/S高新聞実行委員会」に所属する生徒が運営しており、生徒が企画・執筆した記事が週に2~3回、Webサイトで更新されている。

 そんなN/S高新聞実行委員会では、ライターや編集者といった文章に関わる仕事をされている方をお招きし、生徒が文章について学ぶ授業を度々開催している。

 2022年の9月には、note株式会社の中野麻衣子さんをゲストスピーカーに招き、「読みたくなる文章ってなんだろう?-N/S高新聞で振り返る「良い記事」とは-」を開催。生徒が執筆した記事をさらに良くするためのアドバイスをたくさん頂いたことで、生徒たちの記事制作に大いに役立てられた。

 本記事では、同授業をレポートしていく。生徒は、自身が執筆した記事の発表を通して何を感じたのか。中野さんからの記事の講評を通して何を学んだのか。生徒にとっての「いい記事」とは何か。実際に参加した生徒である私の視点からその片鱗をお届けしたい。

 授業は、生徒が執筆した記事について工夫した点・直したい点を5分程度で発表し、その発表を受けて中野さんが講評する形で行われた。ここからは、生徒が発表している様子や中野さんによる講評の内容、そこから生徒が学んだことの3点を中心にレポートしていく。

読者の目を引きつけるには?「読者のことを考えたタイトルや文章」の書き方と、サムネイルの作り方

 1人目の発表は、この記事の筆者である私Lyraによる発表で、サムネイルや構成など、読者に読んでもらうために大事な要素となる話を中心に展開された。

発表の様子。私が発表した記事は「サミットが教えてくれた新しい私」
発表の様子。私が発表した記事は「サミットが教えてくれた新しい私

 「この記事は、N/S高の新入生や新しいことを始めてみたいと思っているN/S高生をターゲットに、サミット(注:N/S高 横浜キャンパスにおける委員会活動のこと)に挑戦して自分の殻を破った横浜キャンパスの生徒であるルキノさんの姿を伝えることで、少しでも挑戦への勇気を持ってもらいたいと思い執筆した記事になっています。この記事で特に工夫したのが、サムネイルです。サムネイルは読者に記事を読んでもらうための一番の材料になると思っているので、一番力を入れた箇所になっています」(Lyra)

私が作成したサムネイル。読者の目に留まるように、タイトルの視認性と派手さのバランスを意識して素材選定や配置設定をした
私が作成したサムネイル。読者の目に留まるように、タイトルの視認性と派手さのバランスを意識して素材選定や配置設定をした

 「そのほか、ルキノさんの話が自然に入ってくるように、構成にとても力を入れました。具体的には、冒頭に記事の趣旨となる話を掲載し、そこから質問を派生させて記事の趣旨を深く掘り下げていくような構成にして、記事の趣旨が伝わりやすいようにしました。ほかにも、画像をたくさん差し込んだり適宜注釈を入れたりすることで『読者にとって読みやすい構成』になるように工夫しました」(Lyra)

 私は「読者に読んでもらえる記事・読者にとって読みやすい記事」をテーマにサムネイルや記事の構成に力を入れて記事執筆に取り組んでいた。発表終了後、ゲストスピーカーである中野さんより、このテーマをもっと深めるためのフィードバックが展開された。

中野麻衣子さん。生徒の記事の良かった点を中心に、記事をより良くするために「新たな視点を提供する」スタンスでフィードバックしてくださった
中野麻衣子さん。生徒の記事の良かった点を中心に、記事をより良くするために「新たな視点を提供する」スタンスでフィードバックしてくださった

 「サムネイルにこだわっているところが素晴らしいと感じました。サムネイルは記事の顔となる部分なので、そこにこだわったのはとてもいいアプローチだと思います。そのほかにも、記事の趣旨を冒頭で簡潔にまとめていて、読者にとって読みやすい記事にできているところもポイントが高いと感じました。

 この記事をより良くするためには、タイトルにある『サミット』の文言について考える必要があると思います。読者が学内の方、つまりサミットの存在を知っている方だったら良いのですが、新入生の方など、外部の方もターゲットにしたい場合は校内の通称を使わずにわかりやすく噛み砕いてあげるのがいいかなと思います。タイトルと見出しの時点でわからない言葉があると、読むハードルが上がってしまう可能性があるためです。もし外部の方にも間口を広げたい場合には、外部の方もサミットを簡単に想像できるようなキーワードを入れてみるとより良くなると思います」(中野さん)

 読者層に寄り添ったタイトル選びについてフィードバックしてくださった中野さん。読者に寄り添うことは「読者に読んでもらうため」には欠かせない要素だなと感じた。

 しかし一方で、私は「読者の興味を引きたい」という思いを持っていた。

フィードバックを受け中野さんと対話する私
フィードバックを受け中野さんと対話する私

 「ありがとうございます。実はサミットという文言は『サミットってなんだろう?』といった具合で学内の読者の興味を引かせるために入れていたのですが、今のお話を聞いて、記事を読むハードルが『サミット』の文言によって上がってしまうのは良くないなと感じました」(Lyra)

 私の発言を受けて、中野さんは次のようにアドバイスをしてくださった。

 「サミットの文言は意図して入れていたのですね。そうやって目的を持って言葉を選ぶのはとても大事なことなので、とても良いアプローチだと思います。私の提案は外部の人に間口を広げる提案でしたが、校内の方を読者として、校内の方も知らないような言葉で興味を引くのはありだと思います。どの場合でも、読者の方を第一に考えた言葉選びが重要ですね」(中野さん)

 私は発表と中野さんからの講評を通して、記事執筆を振り返ることができ、これからの記事執筆において大事にしたいことや工夫できるポイントを俯瞰して見ることができた。

 これからの記事執筆で特に大事にしたいと思ったのは「読者に寄り添うこと」だ。中野さんのコメントから、読者の目を引きつけ、読者に読んでもらえる記事に必要なのは「読者に寄り添うことなのだろう」と感じたからだ。今後は「読者に読んでもらうために、自分が読者になったときに読みたい、タイトルをクリックしたいと思える記事を、読者に寄り添い、読者の視点で書いていく」ことを意識したい。

 自らが記事執筆において大事にしたいことの再発見と、中野さんが講評で授けてくださった、ターゲットをより広げるための新たな視点は、その後の「文章を書くときの私」を形作る、とても貴重な学びとなった。このような貴重な学びの機会を頂けたことに感謝しながら、読み手に寄り添える文章を書いていきたい。

次のページ
インタビュー相手の魅力をもっと伝えるには?「記事を書く目的」による言葉の選び方

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この記事の著者

新井 悠斗(S高等学校 ネットコース 3年/「N/S高新聞」実行委員)(アライ ユウト)

 2022年6月からN/S高新聞実行委員2期生として活動を開始。ニックネームはLyra(りら)。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です


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