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先進事例紹介(探究学習)

公立小学校が「子どもたちが1000人の大人と出会うプロジェクト」を実現できたのはなぜか?

板橋区立板橋第十小学校 冨田和己校長・小泉志信教諭インタビュー

 板橋区立板橋第十小学校では探究学習の実践をより有意義なものとするために、有志の教員による校内独立組織「板橋第十小学校の研究を面白くする会(IKO)」が立ち上がった。現在IKOでは中心メンバーの小泉志信教諭主導のもと、子どもたちがさまざまなバックグラウンドを持つ1000人の大人と出会うプロジェクトを実施している。このプロジェクトにより、子どもたちにはどのような変化が起きたのか。また、公立小学校としてはかなり挑戦的とも言えるプロジェクトを実施できた背景とは。一般社団法人まなびぱれっとの代表理事でもある小泉教諭と、同校の冨田和己校長に伺った。

学校の教育理念を実現するため生まれた組織

──「板橋第十小学校の研究を面白くする会(IKO)」が誕生したきっかけを教えてください。

冨田氏(以下敬称略):本校は「学校と社会をつなぎ、板十小の子どもたちの未来を拓く」を教育理念に掲げており、子どもたちには自らの手で未来を切り開いてほしいと考えています。そのために研究組織をつくり、毎年研究主題を決めて注力しています。本年度の研究主題は「探究する子の育成」としたのですが、本格的に探究学習に取り組むのはほとんどの先生にとって初めての経験なので、何をしていいのかわからないといった状況でした。そこで私ができることとして、年度当初の4・5月は通常授業を減らして時間を作り、準備や研修にあてる時間を確保しました。もちろん、授業を減らすと言っても決められた時数は守っています。

板橋区立板橋第十小学校 校長 冨田和己(とみた かずみ)氏
板橋区立板橋第十小学校 校長 冨田和己(とみた かずみ)氏

小泉氏(以下敬称略):これらの研究の中で生まれた、有志の教員による組織が「IKO」です。研究組織としては本校の教員全員が参加しますが、研修プログラムの作成や外部講師のアサインなどは有志のチームで動いたほうが柔軟に動けます。

 私は教員4年目の今年、本校に赴任してきたので、当初はほかの先生を中心に動いていました。その後、探究学習の基礎研修が一通り終わったタイミングで取り組んでみたいアイデアを思い付いたので、そこからは私がIKOのリーダーとなってプロジェクトを進めています。

板橋区立板橋第十小学校 教諭/一般社団法人まなびぱれっと 代表理事 小泉志信(こいずみ しのぶ)氏
板橋区立板橋第十小学校 教諭/一般社団法人まなびぱれっと 代表理事 小泉志信(こいずみ しのぶ)氏

──具体的にどのようなプロジェクトに取り組んでいるのですか。

小泉:1年間を通して、公立小学校で子どもたちが1000人の大人と出会う「3Mプロジェクト」という授業を、4年生を対象に実施しています。さまざまな大人と出会うことで、子どもたちは多様な選択肢を知り、未来に希望を持てるようになります。しかし、家と学校の往復だけでそのような機会を得るのは難しい。お金をかければさまざまな職業の人に出会い、いろいろな体験ができる時代になりましたが、これは貧富の差が体験の差に直結するということを示しています。だからこそ、公立小学校でこのようなプロジェクトをやる意味があるのです。

 このプロジェクトはインキュベーション(創業支援)施設である「SHIBUYA QWS(渋谷キューズ、以下QWS)」の公募プログラムにも採択され、たくさんの起業家をはじめとした学校外の方々にご協力いただいています。ちなみにQWSの公募プログラムで公立学校発のプロジェクトが採択されたのはIKOが初めてだそうです。

 私自身も教員1年目に一般社団法人まなびぱれっとを起業しており、経営者をはじめとした民間の方々と教員が混ざり合い、学び合うことが必要だとずっと考えてきました。ですから今回のプロジェクトでも、本校の教員自身がQWSを訪れ、学校公認の校外研修として起業家の方々と「新しい授業」について考える機会を設けました。学校内にいるだけでは教員が多様な価値観に触れる機会はほとんどありませんが、子どもたちがさまざまな人に出会っているからこそ、教員も同じように行動すべきだと考えました。

SHIBUYA QWSで実施した校外研修の様子 SHIBUYA QWSで実施した校外研修の様子
SHIBUYA QWSで実施した校外研修の様子

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きっかけは「大人になったときのイメージ」が湧かない子どもたち

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この記事の著者

森山 咲(編集部)(モリヤマ サキ)

EdTechZine編集長。好きな言葉は「愚公移山」。

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