ICT推進担当になり、がんばってはいるものの役割の理想像がわからない……
「ICT推進担当になったけれど、このやり方で合っているかな?」と、不安を持たれている先生もいるかもしれません。まずはICT推進担当のやるべきことをお伝えする前に、ICT推進担当の役割、ゴール、心得を紹介します。
【役割】校内のICT活用を推進するリーダー
ICT推進担当の役割は、一言で表すと「校内のICT活用を推進するリーダー」です。主な役割は以下の通りです。
- 校内のICTレベルや活用状況の把握(全体から個人まで)
- ICTを使えていない or 苦手な先生のフォローや使うためのきっかけづくり
- ICTに関する研修など、スキルアップのための企画から実施、情報の提供
また、管理職と連携して、以下を検討する必要があります。
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年度目標の設定:年度内に校内の活用をどこまで進めるのかゴールを明確にする。
- 例:全学年でオンライン授業を行えるようにする、毎日 Chromebook を使う習慣をつける、など。
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中長期目標の設定:最終的に目指す校内のICT活用レベルや児童生徒が何をできるようにするかのゴールなど、中長期的な目標を決める。
- 例:小学2年生からタイピングができるようになる、中学卒業時には、生徒は自分の意思で Chromebook を使う場面やアプリを選択し使いこなせるようになる、など。
- 施策・実施内容の検討:年度・中長期目標を達成するために必要なものを明確にする。
このように、特定の先生や教科、学年だけでなく、学校全体でICTの活用を進めるために、年度内および中長期のICT活用ロードマップの作成も必要です。先生の活用なくして、子どもたちの学びの場におけるICT活用スキルの向上は難しいため、「人事異動でICTに詳しい先生がいなくなったから活用が止まった」といったことがないように、学校全体の計画は必須です。
【ゴール】「効果的」に活用できるようになること
ICT推進担当者として、何をゴールにするのか? 1つ目は、授業や校務で「効果的」に活用できる状態をつくることです。文部科学省は「児童生徒自身がICTを「文房具」として自由な発想で活用できるよう環境を整え、授業をデザインすることが求められます。[※1]」と表現しています。こちらは、子どもたちがICT機器の使い方を理解し、文房具のように授業や学習場面によって、効果的なアプリや使い方を自分で判断して使いこなせる状態にすることを意味しています。
2つ目は、子どもたちのICT活用機会を損失させないことです。学校や先生によって活用機会が異なることは、子どもたちの未来にも関係します。そのため、活用ができていない先生をフォローすることも重要です。
[※1]出典:令和3年3月版 文部科学省「「個別最適な学び」と「協働的な学び」の一体的な充実」
【心得】差があるのは当然、外部の支援を最大限活用する
心得は大きく3つです。
(1)活用レベルに差があるのは当然だ、と理解する
子どもたちの機会損失がないように、ICTを活用できていない(苦手な)先生のフォローは重要です。しかし、指導力に個人差があるのと同様に「先生間で活用レベルの差があるのは当然」という理解を持つことは、推進担当者として大切な心得のひとつです。そして、自主的に使う先生には「便利だから使う」という理由があるように、使いたくないと思っている先生にも「使いたくない理由」が必ずあることも忘れてはいけません。
(2)個人のレベルアップに焦点をあてる
推進する中で、先生間の「活用レベルの差を埋める」ことに焦点を合わせがちですが、差を埋めるのではなく、先生各人の「今よりも活用できるようになる=個人のレベルアップ」にフォーカスすることがおすすめです。そうすることで、活用できる先生はよりレベルの高い活用を進め、苦手な先生はできないことをほかの先生と比較してしまうような自責を持たずに推進できるなど、学校全体がプラスの方向へ進むことが可能となります。
(3)各自治体の制度や支援を最大限活用する
すべてを自力で賄おうと、ICT推進担当者だけに負担がかかるケースも見受けられます。自治体ごとに、ICT支援員や制度、ツールなどを用意している場合もありますので、最大限活用していただけたらと思います。