管理職も含めた教員全員でGoogle教育認定者に挑戦
鈴谷教諭は、現在埼玉県の公立小学校に勤務し、情報教育主任と6学年の学年主任を兼任している。また、校外の活動としてはプログラミング教育のための教員コミュニティ「Type_T」の代表も務め、EdTechZineでは「GIGAスクール時代の『先生向け資格取得ガイド』」という連載記事を執筆していただいた。
鈴谷教諭の勤務校では、2021年度から1人1台の「Chromebook」および「Google Workspace for Education」を導入している。さらに鈴谷教諭が校長に依頼し、学年主任全員が参加してICT活用を全校に広める「情報教育推進委員会」が設置された。
2021年1月、鈴谷教諭はGoogle Workspace for Educationの導入を受け「Google認定教育者 レベル1」の資格試験を、管理職を含めた学校の教員全員で受検することを思いつく。すでにこの資格を取得していた鈴谷教諭は「資格取得の有用性も感じていたが、取得の課程でいろいろな学習を体系的に行える」点に着目。管理職を説得し、校内の教員全員が受検するための予算を取り付けた。その際、日本教育公務員弘済会のICT教育の研究助成費を使用したという。
その後、校内で1カ月間にわたる研修を実施。この研修には、試験を受けるまで教員のモチベーションを上げ、短時間で効果的かつ、情報担当の負担を軽くするための工夫が満載だった。順に紹介していこう。
【工夫その1】バウチャーを最初に配付し、先生を「やる気」にもっていく
鈴谷教諭は研修に先立ち、資格試験を受けるためのバウチャーを全員に配付した。
「学校の先生は自分のために予算を使ってもらう機会が少ないため、『試験に申し込んでもらったので、やらなくては』という気持ちになり、効果が大きい」という。
【工夫その2】お便りで研修を告知
「超充実したGIGAスクール構想の実現を目指す」ことと「鳥獣戯画」をかけて「超充GIGA(ちょうじゅうぎが)」と名付け、教員全員へお便りを発行。研修の詳細を丁寧に共有した。
【工夫その3】研修はテーマごとに担当を決め、時間を10分以内に設定
鈴谷教諭が行った研修の大きなポイントとなるのが、研修の方法だ。教育委員会から配布された「Google Workspace for Education」の初心者向け解説冊子を使い、そのテーマごとに担当を分けた。最初に担当を分けることで、情報担当の負担を軽減できる。
研修の時間については、10分以内とした。昨年度の休校中も「動画は5分以内におさめる」としており、短い時間でしっかり学ぶことを大事にしている文化が校内にあったのだという。その結果「時間内におさめるために冊子の内容をきちんと把握しておく必要が生まれ、スムーズに実施できた」と鈴谷教諭は語る。
【工夫その4】ジクソー法を採用
昨年度までは鈴谷教諭が1人で校内研修を行っていたが、情報教育推進委員会を設置したことにより、委員会を巻き込みジグソー法で実施できるようになった。
【工夫その5】勤務時間内におさまるように調整
勤務時間外に行う研修は心理的負担も大きい。勤務時間内に実施するため、各教員のスケジュールを調整して研修を行った。