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GIGAスクール構想から考える生徒指導

1人1台端末のルールづくり、どうする?【GIGAスクール構想×生徒指導】

GIGAスクール構想から考える生徒指導 第1回


 GIGAスクール構想がスタートしたことで、教育はどのように変わっていくのでしょうか。筆者は教育委員会事務局の指導主事として、GIGAスクール構想におけるICT教育の推進や授業改革を担当しています。本連載では、読者の皆さまと一緒に「GIGAスクール構想×生徒指導」について考えていければと思います。第1回では「学習用端末の使用ルールづくり」を取り上げます。

大切なのは本質を見極めること

 学校の教員をしていると、学校を舞台としたドラマをついつい見てしまいます。最近では、TBSのドラマ「ドラゴン桜2」に夢中になっていました。

 これまでなかなか勉強に取り組んでいなかった高校生たちが、東大合格を目指して勉強に励むという内容です。その指導にあたるのが、主人公である弁護士・桜木先生(役:阿部寛さん)です。その桜木先生が、勉強に励む高校生たちにこう言っていました。

「東大入試では、本質を見極める力を問われている!」

 「本質を見極めること」は、私たち教員の立場でも大事になるのではないでしょうか。GIGAスクール構想が始まっても、教育の本質は変わりません。私が考える本質のひとつは「子どもを中心において、子どもの学びを支えること」。その本質を追究するための手段として、ICT教育があります。

 GIGAスクール構想によって、さまざまな場面でICTも活用できる環境が整いました。教員も子どもも、これまでの教育の本質を大事にしながら、新しい教育に挑戦していくことが重要になると思います。

まずは委ねてみましょう

 そういった新しい環境、挑戦だからこそ、先生方もたくさん悩まれているのではないでしょうか。そんな中で、次のような相談をいただきました。

 GIGAスクール構想における学習用端末の活用にあたり、授業中の使用ルールをどうするか。また、休み時間や持ち帰りの際のルールはどうすればいいか。

 この質問は「学習用端末の使用ルールづくり」というテーマになるかと思います。今回は、このテーマについて一緒に考えていきましょう。

 まず私は、GIGAスクール構想において、子どもを信じて「委ねる」ことがこれまで以上に大事になると考えています。よく見る授業では、「今から端末を開けましょう」「今は端末を閉じましょう」と学習方法を教員が指定しています。発達段階や活動のねらいによって違いますが、そればかりではもったいないと思います。

 学習用端末をいつ使ってもいいし、使わなくてもいい。教科書やノートと同じように学習用端末も活用したいものです。自分で考えてもいい、教科書を見てもいい、仲間に聞いてもいい、そして学習用端末を使ってもいい。そんな環境をつくるためには、子どもに委ねることが欠かせません。子どもが学び方を自己決定することで、より「自分ごと」になります。今までの学びの道具が1つ増えたイメージでしょうか。

 子どもに「委ねる」ということは「こうすれば正解」という使用ルールもありません。私が本年度訪問した学校でも、端末の使用ルールはさまざまでした。休み時間は必ず充電保管庫に収納させる学校や、机やカバンの中にしまわせる学校、そして自由に使ってもいいとする学校。学校によってルールは違います。先ほども述べたように「必ずこうしたらいい」などの正解はないかと思います。だからこそ、ルールづくりを子どもたちとともに考えていく必要があるのではないでしょうか。それは、生徒指導にもつながっていくと考えています。

 私は、GIGAスクール構想における生徒指導では「失敗から学ぶこと」が大事だと思っています。子どもに失敗をさせるには、ある程度自由にして子どもに委ねることが必要です。

 どうしても子どもが失敗しないように、教員が先回りして準備してサポートしたくなる気持ちもよくわかります。学習用端末の使用ルールにしても、禁止事項として10個も20個も挙げることだって可能です。けれども予測困難な時代で、今後子どもたちが失敗をしないことはほとんどありまえません。だからこそ、学校で思い切り失敗をする。失敗をして、そこから学べる環境を整えていくことが、教員には求められているのではないでしょうか。

次のページ
子どもたちが決めたルール

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この記事の著者

吉岡 拓也(ヨシオカ タクヤ)

 神戸市教育委員会事務局教科指導課指導主事。神戸市立高等学校での勤務を経て、現職。  モットーは「委ねる、つなげる、挑戦する」。子どもから、先生から、学ぶことを楽しむ。  神戸市立の学校園に足を運び、GIGAスクール構想における授業・学校改革を支援している。  主な著書に『GIGA...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です


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