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EdTechZineオンラインセミナーは、ICTで変わりつつある教育のさまざまな課題や動向にフォーカスし、最新情報をお届けしているWebメディア「EdTechZine(エドテックジン)」が主催する読者向けイベントです。現場の最前線で活躍されているゲストの方をお招きし、日々の教育実践のヒントとなるような内容を、講演とディスカッションを通してお伝えしていきます。

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学習塾におけるオンライン活用法 最新動向

オンライン授業に消極的だった地方の個人経営塾が導入に踏み切ったワケ――メリットと課題、今後の展望

学習塾におけるオンライン活用法 最新動向 第2回

 2020年の緊急事態宣言の発令以降、オンライン授業を導入する塾が増えてきましたが、さまざまな課題もあり、いまだ浸透していない現状があります。自塾のスタイルに合わせたオンライン授業の活用法を探るべく、今回は岩手県盛岡市で自立型の個別指導塾を経営する「個別指導サクセス」代表の鈴木宏治先生に、地域で先駆けて取り組まれているオンライン授業のメリットについてお話を伺いました。

鈴木宏治

 個別指導サクセス(2012年6月~) 塾長。39歳。

 大学卒業後、大手住設メーカーの営業部に入社。大手ハウス・マンションディベロッパーなどを担当する。入社2年目にして大型設備の納入実績(東北初)を果たすなど、上司からの期待も高かったが、直属の上司と衝突し退職。その後、たまたま見つけた塾講師のバイト(スクールIE)から、教室長となり、担当教室を4年連続で「全国優秀教室賞」に。2011年、東日本大震災を経験し、独立を決意し翌年、岩手県盛岡市に現教室を開校。現在に至る。

 服装・髪型自由、教室内飲食OK、宿題ナシなど、自由なスタイルで塾運営中。また、課外活動や習い事コースなど、体験型学習に力を入れている。

個別指導サクセス 塾長 鈴木宏治氏
個別指導サクセス 塾長 鈴木宏治氏

オンライン授業導入により、塾運営のコストを圧縮

――個別指導サクセスでオンライン授業を開始したきっかけを教えてください。

 実は正直なところ、最近までオンライン授業の導入は考えていませんでした。2020年の緊急事態宣言時も、岩手県は感染者が少なかったこともあってか、生徒や保護者にヒアリングしたところ「今まで通りで」という意見が多数。そのため、従来通りの対面授業を続けていました。また、取引のある業者からオンライン授業に関するネガティブな意見を聞いていたこともあり、取り入れる予定はありませんでした。

 ただ、ある時ふとオンライン授業を取り入れてみようと思い立ったのです。明確なきっかけというものはありませんが、自塾が抱える悩みやいろいろな背景があったように思います。

 私たちの現状としては、まだオンライン授業を取り入れ始めたばかり。生徒たちは皆楽しんで受講していることもあり、今後力を入れていこうという段階ではあります。しかし、すでに塾運営のあらゆる面で手応えとメリットを感じています。

差別化のための送迎サービスが不要になり、負担軽減

――コロナ対応が急務だった都市部の塾と比べると状況がまったく違っていますが、オンライン授業を開始して感じた変化はありますか?

 個人経営塾は知名度という点でどうしても大手塾にはかないません。そこで私たちは開校以来、送迎サービスを導入することで差別化をはかり、塾が少ない郊外からのニーズを獲得していました。もちろん別途、送迎サービスの利用料金はいただいていますが、塾としてはかなりコストがかかるのが悩みの種でした。

 オンライン授業にすることで送迎が減り、コストダウンにつながりました。また、岩手県は大雪など天候によって送迎できない場合もあるため、オンライン授業ならこうした問題も回避できるようになりました。

 遠方からでは通いにくい、という物理的な距離をカバーするのが送迎サービスでした。この課題を一気に吹き飛ばせるのがオンライン授業といえます。都市部よりも地方のほうがオンライン授業導入のメリットは大きいと思います

運用コストが悩みだった送迎サービス
運用コストが悩みだった送迎サービス

金銭面、時間面など、保護者メリットも多数

 保護者にとってはまず、送迎料金が不要になるという経済的メリットがあります。保護者が送迎をしている家庭もあるので、その場合の負担を減らせることも大きなメリットといえるでしょう。

 実際にご家庭で送迎する保護者からは、「送迎の手間がなくなってありがたい」とよく言われます。生徒を塾に送った後、授業の間は近くで時間をつぶして待機されていた保護者もいらっしゃり、待機の時間も含めると保護者の時間的負担をかなり削減できます。「今はお酒も飲める」と喜ばれたこともありますよ

講師と生徒も楽しみながら――スマホデバイスだからこそ集中できる

――オンライン授業を開始して、授業スタイルの変化や生徒からの反応はどうでしたか?

 オンライン授業自体は始めたばかりですが、講師も生徒も楽しんで取り組んでいます。私たちは自立支援型の塾のため、生徒がその日に取り組む課題があらかじめ決まっています。生徒各自がワークに取り組みつつ、分からない部分や間違った部分を講師が教えるスタイルです。授業は5名以下の少人数で実施していますが、オンラインになったからといって、特にやりにくさは感じていません。

 一般的に、塾のオンライン授業は生徒の集中力が続かない、見えないところでスマホをいじったり、サボったりということがあるようですが、自塾ではそういったことはありません。そもそもスマホなどのデバイスをオンライン授業に使っていますし、自宅ではすぐそこに保護者の目もあるので、かえって集中せざるを得ない状況になるようです

次のページ
オンラインとオフラインの“いいとこ取り”が必要

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この記事の著者

株式会社POPER(カブシキガイシャポパー)

塾専用コミュニケーション&業務管理システムComiru、オンライン授業システムのComiruAir、講師の労務管理システムComiruHRをを提供。 「全ての学習塾やスクールが、煩雑な事務業務に追われることなく生徒や保護者を向き合えるように」という思いのもと運営を開始し、 2021年6月段...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です


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