日本でもテクノロジーを活かした教育改革が進め始めた
「Edvation(エドベーション)」は、「Education(教育)」と「Innovation(革新)」を掛けた造語で、Edvation x Summitの開催は今年で3回目となる。
イベント開幕の挨拶には、例年どおり教育イノベーション協議会代表理事の佐藤昌宏氏が登壇し、開催の背景と目的を説明した。
黎明期からEdTechに取り組んでいた佐藤氏は、当時国内で孤軍奮闘する中、2012年にアメリカのテキサス州オースティンで開催されている教育系イベント「SXSW EDU(サウスバイサウスウェスト・イーディーユー)」に参加し、多くの同じ思いを抱く教育イノベーターに出会えたことに感銘を受けた。
以降ベンチャー企業を中心に日本の教育イノベーターを毎年連れていき、国内外の交流を図ってきたが、その流れでリアルな空気感を国内でも、より多数の人に体験してもらうべく年次イベントとして企画されたのが、この「Edvation x Summit」だ。
イベントの目的として、「テクノロジーにより新しい教育の選択肢が増えていることを知ってもらう(正解かどうかはさておき)」「教育イノベーターをつなぎ合わせ、また新たなイノベーターが生まれる素地にすること」の2つを掲げている。特に、「教育の変革は教育のイノベーターからしか生まれないと思っている」と、技術ではなく人材の重要性を佐藤氏は強調した。
また、第1回から会場を提供し、イベントに深く関わっている麹町中学校の工藤勇一校長も「学校教育の現場も変わり、ようやく本格的な教育改革の風が吹き始めた」と近況を振り返った。
Edvation x Summit開催以前は、テクノロジーに関わる側は「学校現場を変えたいがやり方がわからない」。一方、学校現場は「そうはいうが実際にどうしたらよいのか」と、両者のすり合わせが全くできていない状況だったという。
新しい教育を行うのではなく「教育の本質を取り戻せ」と、「社会や時代が変わっても生徒主体で世の中をたくましく自分の力で生きていける子供たちにする」という目標を目指してきた、工藤校長。
佐藤氏が教育現場を理解した視点で国に働き掛けることで、「国の本丸でも本質的な教育改革にテクノロジーを入れながら検討されるようになってきたことをとても嬉しく思う」と述べた。