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EdTechZineオンラインセミナーは、ICTで変わりつつある教育のさまざまな課題や動向にフォーカスし、最新情報をお届けしているWebメディア「EdTechZine(エドテックジン)」が主催する読者向けイベントです。現場の最前線で活躍されているゲストの方をお招きし、日々の教育実践のヒントとなるような内容を、講演とディスカッションを通してお伝えしていきます。

次回のオンラインセミナーは鋭意企画中です。準備が整い次第、お知らせいたします。

EdTechZineオンラインセミナー

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イベントレポート(STEAM教育)

日本とアメリカの最新の取り組みから見えてきた、STEAM教育実践のコツとは

「教育現場で実践すべきSTEAM教育とは?~世界最先端のSTEAM教育を実践・研究する米国タフツ大学~」レポート

 「STEAM教育」という言葉は日本でもかなり浸透したものの、教育現場における効果的な実践事例はまだ多くない。そのような状況の中、STEAMを核にした教育を、民間のスクールや学校現場で約10年間実践してきたヴィリングが、「教育現場で実践すべきSTEAM教育とは?~世界最先端のSTEAM教育を実践・研究する米国タフツ大学~」というテーマで、オンラインセミナーを開催。アメリカで実践型STEAM教育を行うタフツ大学の研究生による実践事例と、ヴィリングが行ってきた日本での取り組みを紹介しつつ、日本におけるSTEAM教育の拡充について有識者がディスカッションを行った。

工学教育を核に実践研究を行うタフツ大学CEEO

 セミナーは4部形式で行われ、最初に「STEM/STEAM教育」について解説があった後、アメリカのタフツ大学CEEO(Center for Engineering Education and Outreach)に所属する研究生が、STEAM教育の歴史やCEEOで行っている最先端の教育研究や実践事例について語った。

STEAM教育の解説
STEAM教育の解説

 タフツ大学はマサチューセッツ州にある私立大学で、世界でも最先端となるSTEAM教育を実践している。今回登壇したのは、同大学のCEEO(Center for Engineering Education and Outreach)で研究を行っているYume Menghe Xu(以下、ユメ)氏、Soham Gaggenapally(以下、ソハム)氏、Alan Deutsch(以下、アラン)氏の3名だ。

日本でも教育に携わってきたユメ氏
日本でも教育に携わってきたユメ氏
修士号を取得しロボット開発研究を行うソハム氏
修士号を取得しロボット開発研究を行うソハム氏
機械工学2年生のアラン氏
機械工学2年生のアラン氏

 CEEOは工学教育を核に、「教育研究」「工学研究」に加えて、学習機会の少ない学校でサポートを行う「アウトリーチ」の3つの活動を主に行っている。次世代の子どもたちがイノベーターになれるよう、幼稚園から大学までのすべての学生を、革新的かつ研究に基づいた工学体験の教育を行うことをミッションとし、工学の学習をサポートする環境と技術について、研究や開発、分析をしている。

 ユメ氏は最初にSTEM教育の歴史に触れ、「STEMという言葉は新しいものではなく、以前から研究されてきたもの。近年は、どうやってよりよいSTEM教育を行うかといった議論が盛んになっている」と話した。そうした中で、工学教育研究のトレンドとして「分野横断」「文化の差異を考慮する」「社会にもたらす影響への意識する」という3点を挙げた。「学習者一人ひとりにとって意味のある文脈で教えること、単に技術を作って終わりではなく、それが社会に対してどのような影響を与え得るかを考慮しながらプロジェクトを進めることが大事だ」と語った。

「社会にもたらす影響への意識」の実践例
「社会にもたらす影響への意識」の実践例

 ユメ氏はさらに、「STEMにはさまざまなアルファベットが含まれるが、大事なのは『どのような教育を行うか』だ」と述べ、STEAMについては、「『A』には、芸術としての『アート』と『リベラルアーツ』の2つの解釈があり、分野横断や自己表現ができ、世の中をクリティカルに見る目が養われるなどの効果が期待できる」とした。

 続いて、先に挙げたトレンドに基づき、ツールをデザインするポイントを3点紹介した。1つ目は「学習者が自分で問題を定義する」ことだ。CEEOでは、物語の中の問題を探す「Novel Engineering」や、自分のコミュニティの問題を探すプロジェクトなどを実践している。

 2つ目が「学習者が自分で解決策を作り出す」こと。エンドプロダクト(最終的な生産物)を提示せず、アイデアとインスピレーションをちりばめることが大事だという。

 3つ目は「そもそも学習者に、自分の持っている広い将来の可能性を認識させる」ことだ。ユメ氏は「工学に対する興味と粘り強さは『自分らしくいられるアイデンティティ』と『得意からくるパフォーマンス』『周囲からの承認』から生まれる」と話し、教育現場でできる取り組みを紹介した。

学習者の可能性を築くための取り組み
学習者の可能性を築くための取り組み

 また、ユメ氏は「学習者が興味を持ち、自分で舵を取ることができる。1つだけでなく、複数の解決策を検討できる。何度でも改善して作り直すといった反復ができる。作り続けられる……このようなテクノロジーを開発するように、CEEOでは心がけている」と解説した。

教育テクノロジーを開発する際に重要な意識
教育テクノロジーを開発する際に重要な意識

 最後に、CEEOのスローガン「Kids Can…Think…Invent…Discover…Change the World」を紹介し、「『子どもたちが持っているさまざまなアイデアは工学につながっている』と承認してあげることが大事だ」と語った。

次のページ
「知識を実行する人を育む」CEEOのプロジェクト

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この記事の著者

相川 いずみ(アイカワ イズミ)

 教育ライター/編集者。パソコン週刊誌の編集を経て、現在はフリーランスとして、プログラミング教育やICT教育、中学受験、スマートトイ、育児などの分野を中心に、取材・執筆を行っている。また、渋谷区こどもテーブル「みらい区」を発足し、地域の子ども達に向けたプログラミング体験教室などを開催している。一児の...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です


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