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EdTechZineオンラインセミナーは、ICTで変わりつつある教育のさまざまな課題や動向にフォーカスし、最新情報をお届けしているWebメディア「EdTechZine(エドテックジン)」が主催する読者向けイベントです。現場の最前線で活躍されているゲストの方をお招きし、日々の教育実践のヒントとなるような内容を、講演とディスカッションを通してお伝えしていきます。

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小学生からのデータリテラシー教育を考える

「データリテラシー」は小学生から学んだほうがよい──実践ワークショップから浮かび上がった課題と期待

小学生からのデータリテラシー教育を考える 第2回

 日本人は計算は比較的得意だが、データを読み解き、それらに基づいた客観的な議論や意思決定をすることはあまり得意ではないと言われている。前回の記事ではその実態について、北海道ハイテクノロジー専門学校でデータリテラシー教育に携わり、現在は学研ホールディングスで企業内でのデータ活用推進に取り組んでいる横尾聡氏へインタビューを実施。現状の課題として、データと向き合う際に定型的なレポートを見るにとどまり、データのグラフ化や多角的な視点で見る経験が少ないことなどが挙げられた。インタビューの後半では、小学生向けのワークショップの様子を紹介いただき、データリテラシーを高めるためのヒントを聞いた。

データや選択肢が多過ぎると、人間は理解のために何をするか

──前回、日本ではデータリテラシーに自信があると回答した人の割合が世界平均と比較して約半分という結果をご紹介いただきました。「データを活用できないと生産性は高められない」との指摘もありましたが、この点に関してどうお考えですか。

 人間はデータが多過ぎると理解できず、それは行動を起こせなくなることにもつながります。興味深い心理学の実験[※1]があるので紹介します。

 ジャム売り場にジャムが並んでいたとします。ジャムを並べた数に応じて、何人が試食をして、何人が購入したかを比較しました。24種類ずらりと並べた場合に試食した客は60%、6種類だけだと試食した客は40%となりました。選択肢が多いと、試食する人は多いのです。

 しかし購入した人になると違います。24種類だと購入に至ったのは3%だったのに対し、6種類だと30%でした。人間は選択肢が多ければ興味はわくものの、その中から選べなくなります。おおよそ4つぐらいまでの選択肢が最適だと言われています。[※2]

──現実世界に目を向けると選択肢は多過ぎますし、とても複雑ですね。

 人間は膨大な選択肢やデータを前にすると、次のような行動をとると言われています。「探索したがる」[※3]「分類したがる」[※4]そして「(ストーリーで説明できるように)因果関係を求めたがる」[※5]の3つです。

──物事を分解することで理解しようとするのですね。

 人間の頭の中には短期記憶、いわゆるワーキングメモリをつかさどる部分があります。「海馬」と呼ばれるところで、コンピューターでは「メモリ」に該当します。外界からは常に大量の情報が入ってきますが、意識に上るのはほんのわずかです。100万分の1とも言われています。さらにその中から同時に処理できる事象は4つ程度で、しかもマルチタスクで処理することができません。つまり、ワーキングメモリ上で一度に処理できる情報は4つまでで、それ以上詰め込もうとするとキャパオーバーで理解できなくなってしまうのです。

 前回、データを表で見るだけではすぐにインサイト(洞察、発見)が得られないと言いました。グラフなら一目瞭然でも、表で数字を追った場合、インサイトを得られないか、得られたとしても大変な時間がかかってしまいます。みなさんも表を読む際に、2行目に移った時点で、1行目の内容を忘れかけていることがあると思います。これは、キャパオーバーすることで認知的負荷がかかり、一時的なストレス状態に陥っているのです。だからこそ、データから何かを理解して、インサイトを得ようとするならば、データをきっちり整理して表現することが大事です。

[※1]Sheena S. Iyengar & Mark R. Lepper『When Choice is Demotivating: Can One Desire Too Much of a Good Thing?』(2000年)

[※2]Nelson Cowan『The magical number 4 in short-term memory: A reconsideration of mental storage capacity』(2001年)

[※3]Anna Lembke『ドーパミン中毒』(新潮社、2022年)

[※4]Eleanor Rosch & Barbara L. Lloyd『Cognition and Categorization』(1978年)

[※5]Christopher Chabris & Daniel Simons『錯覚の科学』(文藝春秋、2014年)

次のページ
データ分析の基礎とデータを自由に探索できる小学生向けワークショップ

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小学生からのデータリテラシー教育を考える連載記事一覧
この記事の著者

吉田 一貫(クリックテック・ジャパン株式会社 マーケティング本部長)(ヨシダ イッカン)

 東京大学教養学部イギリス科卒業、ロンドン大学ゴールドスミスにて修士課程修了。  ジャストシステムにて「一太郎」等の開発に関わったのち、Apple、シマンテック、ビジネスオブジェクツでプロダクトマーケティング、Evernote、Cloudera等でPRとマーケティングを統括。2019年6月より現職...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です


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