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EdTechZineオンラインセミナーは、ICTで変わりつつある教育のさまざまな課題や動向にフォーカスし、最新情報をお届けしているWebメディア「EdTechZine(エドテックジン)」が主催する読者向けイベントです。現場の最前線で活躍されているゲストの方をお招きし、日々の教育実践のヒントとなるような内容を、講演とディスカッションを通してお伝えしていきます。

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イベントレポート(先端技術)

大学生がデータ分析を通して社会課題に向き合う! ヤフー主催のデータ活用コンテスト

「DS.INSIGHT for Academy 第1回データ活用コンテスト」レポート

 ヤフー株式会社(以下、Yahoo! JAPAN)が提供する事業者向けデータソリューションサービスは、大学生を対象としたデータ活用コンテストを、2022年12月17日にオンラインで初開催した。Yahoo! JAPANでは、多様なサービスから得たビッグデータを活用し、企業や自治体向けに事業の創造や成長支援、課題解決などにつなげるインサイト提供を目的として、2019年より検索データや人流データといったYahoo! JAPANのビッグデータを調査・分析できるデスクリサーチツール「DS.INSIGHT」などを提供している。「DS.INSIGHT」は教育機関での利用に合わせた「DS.INSIGHT for Academy」プランも提供されており、今回のコンテストは大学でのデータサイエンス教育の活性化や、データ活用に関心のある大学生同士のつながり作りなどを目的として開催された。

「データ利活用」「課題・提案」などの幅広い観点から総合的に審査

 今回のコンテストは、4大学計7組の参加者によって行われた。対象は「DS.INSIGHT(以下、DSI)」を利用中の大学生で、個人またはゼミなどのチームで参加した。審査基準としては、アイデアやオリジナリティといった「データ利活用」の観点や、 現実性・プロセス・共感性などの「課題・提案」を踏まえた総合的な観点から審査を行い、「最優秀賞」「花王賞(マーケティング賞)」「分析賞」を選出し、また参加者投票で最も支持されたチームには「オーディエンス賞」が贈られた。

 参加チーム全体の特徴としては、きわめて社会性の高いテーマが取り上げられていたことが挙げられる。具体的には「移住促進」「地域活性化」「予防医療」「子どもの貧困」などのテーマだ。これらの日本が抱える重要な課題に対して、解決のためのフレーム設計および具体的な施策の方向性が提案された。データ活用の見地では、既存データとDSIを併用し、フレームワークや解決施策とのデータ活用の整合性・深度などが競われた。

最優秀賞は肝疾患における予防医療のWeb啓発手法開発

 最優秀賞を獲得した作品は佐賀大学医学系研究科に所属する井上香さんの「検索キーワード分析と検索行動解析によるNAFLD・NASHの新規WEB啓発手法の開発」。NASH(ナッシュ)を含めたNAFLD(ナッフルド)は「非アルコール性脂肪性肝疾患」と呼ばれ、アルコールやウイルスなどを原因としない脂肪肝の総称だ。日本でも約4人に1人が罹患し、NAFLDは肝硬変や肝癌の原因にもなる。

 早期発見・早期治療の原則から考えた場合、NAFLDは自覚症状が乏しいことが課題となっている。また、通常の健康診断やかかりつけ医の検査でも、腹部エコーの検査率は必ずしも高くないという現実もある。

 提案内容としては、まずアプローチ指針の設計においてDSIの時系列キーワードから検索行動の医学的解析を実施。DSIキーワードマップから設定した基準キーワード「脂肪肝 治し方」検索後の検索行動パターンを見たところ、精密検査関連ワードの検索傾向と、サプリメントや運動器具などの自己流の解決に関連するワードの検索傾向に分化していることがうかがえた。これより「脂肪肝 治し方」検索前のターゲットにアプローチする手法を採用した。

DSIの時系列キーワードから検索行動の医学的解析を実施
DSIの時系列キーワードから検索行動の医学的解析を実施

 キーワードのカデゴライズや時系列変化の分析を通して、「ダイエット」「降圧剤」「血糖値」などの6つのキーワードを設定。これらのキーワードをもとに、テストマーケティングとしてWeb広告を展開した。さらにクリック率の高かった世代などにもWeb広告を実施し、比較検討を行った。

 受賞理由としては、Webマーケティングの知見を活用した精緻な調査プロセス設計と完成度が挙げられ、さらに顕在化する以前の潜在層にアプローチするコンセプトがマーケティングの見地やDSI活用の観点からも高く評価された。

朝ドラ分析から地域活性化を考察する

 最もマーケティング視点で優れた作品に贈られる「花王賞(マーケティング賞)」を受賞したのは、近畿大学の上野さんほか3名による「朝ドラに関するデータ分析~地域活性化への活用~」だ。現在(2022年度後期)放映されているNHK朝の連続ドラマ小説「舞いあがれ!」の舞台のひとつが、近畿大学の位置する東大阪市であり、これを活用したWebコンテンツやSNS活用の前提として、朝ドラと検索行動の相関関係の分析を行った。

 まず、DSIを活用した朝ドラ過去作品を含めた検索行動の分析として、朝ドラの重要なキーワードには「タイトル」「ドラマの内容」「出演者」の3つがあると分析。さらに、検索数と視聴率は必ずしも連動しないこともわかった。

高評価を受けた視聴率と検索数のマトリクス分析
高評価を受けた視聴率と検索数のマトリクス分析

 この現象がなぜ起きるのかについては、人々の検索行動分析としてドラマ視聴者が検索する場合と、SNSなどの各種媒体を見て検索するドラマ非視聴者の存在が挙げられた。最後に、これらの分析をもとにした東大阪市のホームページ・コンテンツやSNS展開のポイントが提案された。

 受賞理由としては、視聴率と検索数の四象限マトリクスが高く評価された。「検索と視聴率は連動しない場合もある」で終わるのではなく、マトリクス分析を通じて深掘りし、最終的な提案を導き出すプロセスがマーケティング視点で評価された。また、実際に東大阪市へのプレゼンテーションも予定されているということで、その行動力も評価された。

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子ども食堂への支援活動からデータ分析をはじめる

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EdTechZine編集部(エドテックジンヘンシュウブ)

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※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です


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