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イベントレポート(海外動向)

国際バカロレア(IB)とは何か?――グローバルなだけではない、注目の大学入学資格をIB日本大使が説明


 ハーバード大学など欧米の大学やアジアの大学、あるいは日本の大学でも、資格を取得していれば応募ができる――。そんな世界を目指すのが共通の大学入学資格「国際バカロレア(IB)」だ。日本でも政府がIB認定校200校を目指すなど注目が高まり始めているが、一体IBとは何なのか? 3月27日、広尾学園で開催されたイベント「Learn for Life 2018」の基調講演において、国際バカロレア日本大使を務める坪谷ニュウエル郁子氏(東京インターナショナルスクール代表)が発表を行った。  

世界共通の成績証明書を、1968年に誕生

 「私たちはどのように自分を表現するのか」――IBの初等教育プログラム(PYP)において小学校4年生が学ぶ領域の1つだ。

 国際バカロレア(以下、IB)の特徴である概念学習では上記のような領域(テーマ)に対し、コンセプト、トピック、ファクトと掘り下げていく。

国際バカロレア日本大使 坪谷ニュウエル郁子氏
国際バカロレア日本大使 坪谷ニュウエル郁子氏

 坪谷氏が理事長を務めるIB認定校では、上の領域に対して「広告は私たちの考え方や選択に影響を与える」といったコンセプトを選んだ。その後「広告の目的は何か、どんな種類があり、どんな場所にあるのか、選択に影響を及ぼすための効果的な要素があるのか、広告とターゲットの関連性は」といったトピックに落として学習を進めたという。

 また、同校の小学校5年生は「私たちは誰なのか」という分野から、「学びは人間と世界を結びつける人間の基本的特徴である」というコンセプトを選んだ。その後、「学習とは何か」「脳はどのように機能するのか」などについて6週間かけて探究するという。

 こういった学び方をするIBが、昨今日本でも注目され始めている。では、IBは何のために生まれたのか。

 誕生の地はスイスのジュネーブ、国際機関が多く集まる都市だ。各国から駐在などでやってきて数年住み、また別の国に移動する家族が多い。親と一緒に移動する子どもたちは、大学に進学する際にそれぞれの国の方法で審査されるため、学校での進学対策が難しいといった問題があった。そこで世界共通の成績証明書を作ろうと誕生したのが国際バカロレア(IB)だという。

 坪谷氏はIBの理念について、「多様な文化の理解と尊重の精神を通じて、より良い、より平和な世界を築くことに貢献する、探究心、知識、思いやりに富んだ若者の育成を目的とする」「人が持つ違いを理解し、自分と異なる人々にもそれぞれの正しさがあることを認める」などと紹介する。「積極的に共感する心を持ち、生涯にわたって学び続ける――生涯にわたって学び続けるための学びの方法を学ぶのがIB」とも説明した。

2022年に200校のIB認定校目指す日本

 このような理念に基づく教育を受けた人材を、企業も重視しているようだ。日本では2013年、経済団体連合会(経団連)がグローバル人材の育成に向けたフォローアップ提言で「IBディプロマ課程は、グローバル人材を育成する上で有効な手段の一つ」と述べている。

 同年、政府は「日本再興戦略-JAPAN is BACK-」で、IB認定校の大幅な増加を目指すことを閣議決定した。教育再生実行会議の第3次提言では、200校に増やすことを図るとしている。また、IBの導入推進に向けた提言では、少子化やグローバル化といった社会の変化を指摘し、「グローバル化した社会で活躍できるよう、豊かなコミュニケーション能力と異文化への理解、そして自ら課題を発見し、解決する能力を有する人材の育成が以前にも増して重要」とIB重視の理由を説明している(文部科学省「国際バカロレア日本アドバイザリー委員会報告書 ~国際バカロレアの日本における導入推進に向けた提言~」より)。

 世界に目をやると、146カ国、約4600の学校がIBを導入している。数の点で勝るのが米国だが、カナダ、オーストラリアなどに混じってエクアドルが3位というのも目を引く。「日本が200校宣言をする前年に、エクアドルは500校宣言をした。すでに268校まで増えており、このペースなら500校達成も可能ではと言われている」と坪谷氏。アジアではインド、中国などで増えているという。

世界のIB導入校数。アメリカ、カナダ、エクアドル、オーストラリア、インドが上位5カ国。日本は55校
世界のIB導入校数。アメリカ、カナダ、エクアドル、オーストラリア、インドが上位5カ国。日本は55校

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この記事の著者

末岡 洋子(スエオカ ヨウコ)

フリーランスライター。二児の母。欧州のICT事情に明るく、モバイルのほかオープンソースやデジタル規制動向などもウォッチしている。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です


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