eboard（イーボード）は、不登校の小中学生の約3割が「相談・指導等を受けていない」状態にあることを受けて、不登校支援の人材育成を目指したプログラム「eDojo」を8月にスタートしたことを、10月28日に発表した。
文部科学省が10月27日に発表した「令和三年度児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」によれば、不登校児童・生徒の数は過去30年間で最大の4万8813名増となり、過去最多の24万4940名に達している。不登校には含まれない「新型コロナウイルス感染症の感染回避」を理由に登校を控えた小中学生は、初集計だった昨年度と比較して約3倍の、5万9316名となった。
不登校の子どもたちへの教育機会の確保を目指した「教育機会確保法」の成立以降、学校復帰だけを目的としない不登校の子どもたちへの支援が行われてきたものの、毎年約3割の子どもが「相談・指導等を受けていない」状態にあり、同調査によれば36.3％を占めている。
今回、eboardがスタートした「eDojo」は、セールスフォース・ジャパンの支援を受けて、eラーニングと現場でのグループワークを組み合わせた、ハイブリッド型の研修プログラムとして開発を進めているもの。NPOや企業の社会的インパクト評価を専門に行うソーシャルバリュージャパンが、支援人材に求められるスキルセットと評価基準の開発を支援する。
同プログラム内の講座は、対人支援のための「教育心理」「学習支援」「こども家庭福祉」の3分野と、フリースクールなど民間団体の運営のための「組織運営」分野の計4分野で構成されており、対人支援分野については文教大学教育学部・会沢信彦教授をはじめとした各分野専門家の監修を、組織運営分野についてはフリースクール全国ネットワークの協力の下、制作を進めた。
8～9月に実施された第1期プログラムには、東京シューレ（東京都）、寺子屋方丈舎（福島県）フリースクールこといろ（岩手県）、フリースクールはらいふ（大阪府）のスタッフが参加し、プログラム受講分野と未受講分野の比較では短期的成果（短期アウトカム）について、受講分野に総じてプラスの変化がみられる結果となっている。
プログラム受講前の階級別では、自身でも「できていない、不足している（ベースラインが低い）」と認識していた部分についてはプラスの変化となり、自身では「できている、十分だ（ベースラインが高い）」と認識していた部分についてはマイナスの変化がみられた。同プログラムが学習の機会として、自身の不足部分への向上や、十分と思っていた部分への新たな学びとしての刺激となっていると考えられる。
第2期では、民間のフリースクールだけでなく、教育委員会が運営する「教育支援センター」の運営者・スタッフも参加し、12月頃の実施を予定している。
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