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不登校や退学の現状と、周囲ができるサポート

高校の不登校と中退の現状、教師・学校・保護者はどう支援すべきか

不登校や退学の現状と、周囲ができるサポート 第2回


 本記事は、高校で担当するクラスに不登校・中退を検討している生徒がおり、対応に悩む教員・関係者の方々や、高校生のお子さまが不登校・中退(の検討)に直面し、どうアドバイスをすればいいか悩んでいる保護者の方に向けたものです。また当事者にとっても、高校においては多様な学び方があるということを知り、「今の学校を辞めても道はあるんだな」と捉えられるようになり、前を向いて歩むきっかけとなれば幸いです。筆者は小学校・中学校時代に不登校を経験しており、その経験をきっかけとして、不登校や中退の研究を行っています。

最新データから見る高校での不登校・中退の現状――義務教育ではない自由と責任

 第1回の記事では、小学校・中学校の不登校について見ていきました。第2回の今回は、高校における不登校・中退の現状とその支援方法について考えていきます。

 小学校・中学校と高校の大きな違い、それは義務教育か否かです。日本では、中学校卒業者の約99%が高校に進学しますが、高校は義務教育ではありません。高校では、不登校(出席日数不足)が留年につながり、中退という選択肢が出てきます。そのため高校において、生徒が直面する問題は中退するかどうかとなり、そこに焦点が当たります。高校は制度上、大学に近い存在です。小学校・中学校では、極論、出席日数が0でも卒業をすることは可能です。

 政府統計から、高校生を取り巻く状況を解説していきます。

図1:高校進学者数および進学率の推移
図1:高校進学者数および進学率の推移

 まず中学卒業後の進路という点では、高校進学率は約99%まで上昇している一方で、少子化の影響により、高校進学者数自体は20年間で約30万人減少しています。将来を担う若い世代が減る中で、今の日本の経済・生活水準を維持・向上していくためには、子どもたちへの教育がますます重要となることは言うまでもありません。

 次に、率と数の両面で、高校の不登校・中退の現状を見ていきます。

図2:令和2年度 高校の不登校人数
図2:令和2年度 高校の不登校人数
図3:不登校生徒のうち、中退・留年になった割合
図3:不登校生徒のうち、中退・留年になった割合
図4:高校中退者数および中退率の推移
図4:高校中退者数および中退率の推移
図5:高校の学年別中退率の推移
図5:高校の学年別中退率の推移

 高校の不登校については、生徒全体の1%程度で、中学校の不登校の約4%よりも割合としては低くなっています。高校では、出席日数の不足が留年や中退に直結するため、長期欠席以前に中退という選択肢が出てきます。また、不登校生徒のうちの約5人に1人が中退につながっているということも事実です。

 そして、高校の中退率については減少傾向が続き、20年前は約2%だった中退率は、令和2年度には約1%となっています。高校の生徒数自体も減っていることから、令和2年度には約3万5000人まで中退者数は減少し、20年前の半分以下となっています。

 高校の学年別中退率の推移を見ると、異なった側面が見えてきます。高校1年生での中退率が最も高く、学年が上がるにつれて減少する傾向となっています。いわゆる中1ギャップで生じる問題と同様に、高校1年生でうまく学校に馴染むことができるかが重要ということが示唆されます。

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通信制高校の台頭――義務教育とは異なる多様な学び

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この記事の著者

池本 駿(株式会社ジェイック マーケティング開発部)(イケモト シュン)

 2016年に慶應義塾大学経済学部を卒業し、同大学院にて3年間で2つの修士号(経済学・工学)を取得。研究業績に、大学中退者の就業形態や賃金に着目した論文等。  『池本駿・鈴木秀男. (2019). 高等教育中途退学が就業形態や賃金に与える影響. 日本経営工学会論文誌, 70(1), 1-9.』...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です


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