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EdTechZineオンラインセミナーは、ICTで変わりつつある教育のさまざまな課題や動向にフォーカスし、最新情報をお届けしているWebメディア「EdTechZine(エドテックジン)」が主催する読者向けイベントです。現場の最前線で活躍されているゲストの方をお招きし、日々の教育実践のヒントとなるような内容を、講演とディスカッションを通してお伝えしていきます。

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教育現場でのICT活用事例紹介(高等学校・高等専門学校)

オンラインでの国際交流を始めるには? 相手の探し方や会話が活性化するポイントを紹介


 新型コロナウイルス感染症の影響もあり、オンラインを活用した学びが急速に普及している。海外留学が困難となった今、オンラインでの国際交流は海外に興味を持つ生徒にとって貴重な機会と言える。本稿では、オンラインでの国際交流を行う際に気をつけたいポイントについて、文部科学省が提供する「#せかい部 加盟校」向けに行った講演をもとに、兵庫県立国際高等学校 英語科教諭の金原典義先生にお話を伺った。

兵庫県立国際高等学校 英語科教諭 金原典義先生
兵庫県立国際高等学校 英語科教諭 金原典義先生

海外への研修旅行が中止に……代替案として「オンライン海外交流」を模索

――まずは学校の紹介をお願いします。

 兵庫県立国際高等学校は、兵庫県芦屋市にある公立の高校で、県内でも特に国際理解教育に力を入れていることで知られています。ALT(外国語指導助手)の先生の配置も多く、2年次には海外研修があり、コロナ禍でなければ、アメリカ・カナダ・イギリスの3カ国に分かれて行っていたはずです。

 ほかにも希望者を対象にドイツやカンボジアを訪れたり、韓国の提携校の生徒を受け入れたりするなど、積極的な国際交流活動を行っています。生徒数は1年次120名と比較的小規模な学校で、女子の比率が高く、一部帰国子女や海外にルーツのある生徒も在籍しています。私自身は英語教諭として本校に着任して3年目で、1年生の担任をしています。

――金原先生がオンラインでの国際交流を始めたきっかけを教えてください。

 もともと本校には「英語が好きで学びたい」「将来は国際舞台で活躍したい」という希望を持って入学する生徒が多く在籍しています。しかしコロナ禍により、海外との往来による国際交流や外国語での体験学習などが実施できなくなり、特に2年生での海外研修の中止は生徒にとってかなりショックだったようです。

 何か代わりにできることはないかと考えましたが、2020年の4~5月は休校中のためリアルイベントの開催は難しく、オンラインでの国際交流ができないか検討を始めました。家から海外の学校とつなぐことができれば、いい経験になるのではないかと考えたのです。しかし2020年はインターネット環境の整備が追いつかず、さらに外部とつなぐことを懸念する声もあり、残念ながら実現できませんでした。

 2021年になってようやく、学校として積極的にオンライン授業を取り入れ、県もZoomを使った交流を推奨し始めたので、温めていたアイデアをもとに海外の学校とオンラインでの交流を開始しました。1学期中には、仲介業者に依頼することなく、自前で8回のオンライン交流を行いました。

Win-Winで付き合える提携校を探し、メールで直接アプローチ

――実際に交流を行うまでにはいくつかステップがあり、まずは提携校を見つける必要があると思います。どのように探されているのですか。

 私の場合、地道に「List of schools in (都市名)」でGoogle検索をかけるところからはじめています。すると、その国・地域の学校のリストが掲載されているWikipediaのページがヒットします。

例:ソウルの学校を検索する際のキーワード
例:ソウルの学校を検索する際のキーワード

 それぞれの学校のページで、Webサイトへのリンクが見つかったら、連絡先を調べて直接メールを送っています。学校のWebサイトが英語ではなく現地語で書かれている場合は、Googleの翻訳機能を使います。メールは英語で書くことが多いです。忙しい先生が多いため反応がないことも多く、複数校にアプローチし、リマインドも欠かさないようにします。私の実感では20%の返信率といったところでしょうか。

――交流先を選ぶ際のポイントはありますか?

 一番のポイントは「長く交流を続けてもらえるところ」を探すことです。相手を探して交流するとなると、綿密な準備や調整が必要で、授業の度に行うのは大変です。だからこそ、お互いの関係を深めていけそうな学校を選んでいます。さらに長く続けるなら、双方にとってWin-Winな関係がいいと考え、相手には日本語を勉強しているクラスを探すようにしています。国際交流基金のWebサイトでは、どの地域でどのくらい日本語を教えているか情報が掲載されているので、参考にすることが多いですね。日本語の授業のある学校は意外に多く、ニュージーランドやロシアのサハリンでも見つかりました。使う言語は日本語半分、英語半分として、お互いの学びになる形で交流しています。

 また、交流相手は生徒と同年齢ないし少し年下のクラスを選ぶことが多いですね。と言うのも、海外の子どもたちのほうがしっかりと主張をする傾向があり、日本の高校生は少し遠慮してしまいがちなんです。コミュニケーションに慣れるまでは、中学生くらいの年齢の生徒と交流するのもいいかもしれません。

――先方から返信をもらえたら、どのように調整していくのですか。

 返信を頂いたあとはメールでパワーポイントの資料を送って趣旨を説明し、教員同士でビデオ会議を行うことが多いです。熱意を伝えることが目的で、信頼感もアップしますし、返信の内容も良くなりますよ。そしてスケジュールを調整し、双方の参加人数や端末台数、インターネット環境などを確認します。メールでの調整は時間がかかりますし、こちらの意図と異なる回答が来ることもあって大変なので、断然ビデオ会議をおすすめします。

――オンラインでの交流は地域間の時差がよく課題となります。どのように解決されていますか。

 確かに、互いの授業時間に実施できるのがベストではあるので、ちょうどいいタイミングで双方のスケジュールが合えば、担当の先生の采配で授業中に行うこともあります。ただ、交流のために授業時間を変更するのが難しいのと、授業の進度や分担している先生との兼ね合いで勝手に調整しにくいということもあり、始業前や放課後に時間を確保するほうが現実的かもしれません。そうなると、むしろ時差があるほうが実施しやすいこともあります。例えば、ニュージーランドとは4時間の時差があり、先方がお昼ごろの授業中であればこちらは始業前、エストニアとは6時間の時差があり、先方が10時の授業中であればこちらは放課後の16時です。

金原先生おすすめの、交流しやすい時差の範囲
金原先生おすすめの、交流しやすい時差の範囲

 ただ、アメリカやイギリスとは時差が10時間前後あるため調整が難しく、なかなか対応できません。とは言え、国際理解教育を行う上で重要な国々ですし、文化的・社会的にも欠かせないトピックスが多いため、何らかの形で交流する方法を模索しています。例えばオンライン交流が定着し、生徒もZoomの使い方などに慣れれば、家庭から夜間に交流する機会もつくれるのではないかと考えています。ただ、本校の生徒は英語に慣れているとは言え、ネイティブの方々と話す際はかなり緊張しているので、家から1人でアクセスし、交流するのはまだ難しいかもしれないと感じています。

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ディスカッションの活性化には事前学習が有効

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この記事の著者

伊藤 真美(イトウ マミ)

エディター&ライター。児童書、雑誌や書籍、企業出版物、PRやプロモーションツールの制作などを経て独立。ライティング、コンテンツディレクションの他、広報PR・マーケティングのプランニングも行なう。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です


森山 咲(編集部)(モリヤマ サキ)

EdTechZine編集長。好きな言葉は「愚公移山」。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です


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