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EdTechZineオンラインセミナーは、ICTで変わりつつある教育のさまざまな課題や動向にフォーカスし、最新情報をお届けしているWebメディア「EdTechZine(エドテックジン)」が主催する読者向けイベントです。現場の最前線で活躍されているゲストの方をお招きし、日々の教育実践のヒントとなるような内容を、講演とディスカッションを通してお伝えしていきます。

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デジタル健康観察アプリ「LEBER for School」による校務のDX

コロナ禍で大きく変化した学校の健康観察の課題と、その解決策

デジタル健康観察アプリ「LEBER for School」による校務のDX 第1回

 未知の感染症COVID-19が流行してから早一年が経ちますが、コロナ禍の収まる兆しが見えません。そんな中、学校現場ではタブレットを用いたオンライン授業を行うなど急速にデジタル化が進みました。健康観察もその一つです。今回は、私たちリーバーがデジタル健康観察アプリ「LEBER for School」を提供する中で見えてきた健康観察のDX(デジタルトランスフォーメーション)化の可能性についてお話させていただきます。

職員室で鳴り止まなかった朝の電話対応もなくなり、早朝出勤も廃止

 私たち株式会社リーバーは、遠隔医療相談サービスを行う目的で2017年2月に設立された筑波大学発ベンチャーです。私が医師として現場で働く中で、必要な方に必要な医療を届けるためには医療機関を受診する前に介入することが重要であると感じ、いつでもどこでも医師と気軽に相談できるアプリ、医療相談アプリ「LEBER(リーバー)」を開発し、2018年1月よりサービス提供を開始しました。

 そして、今回のコロナ禍で学校現場での感染症対策が急務であるとのご要望を受け、急遽昨年の6月より学校向けのデジタル健康観察アプリ「LEBER for School」を提供しています。

 当初は未知の感染症ということもあり保護者の方々がとても心配され、毎朝欠席の連絡の電話が鳴り止まず、職員室の電話がパンク状態になりました。また、各自治体で出されている学校再開に向けたガイドラインでは「校舎に入る前に体調を確認するように」とされていて、児童・生徒一人ひとりの体調を紙の健康観察票を用いながら確認をするため、毎朝校門前に長蛇の列ができていたと聞いています。

 そんな中、LEBER for Schoolを導入し、健康観察票をデジタル化することで、先生方の早朝出勤の廃止、そして児童・生徒の入室までの待ち時間の短縮ができて、児童・生徒、そして先生方もとても喜んでいると、感謝のお手紙をいただいています。

 サービス提供者の私たちにとって、この上ない喜びです。このサービスを作って本当に良かったなと思います。

 では、このデジタル健康観察アプリの機能について少しご紹介をさせていただきます。

わずか10秒で体温・体調入力可能。朝の忙しい時間にはとても有難い

 LEBER for Schoolのサービス設計はとてもシンプルです。毎朝決まった時間に保護者のスマホにプッシュ通知で「体温・体調チェックの実施のお知らせ」が届き、体温・体調を入力して送信を押すだけ。これだけです。そうすると即時に学校側に児童・生徒の体温・体調、そして出・欠席の情報などが共有される設計になっています。入力作業は慣れるとわずか10秒で行うことができます。

 朝の時間帯は保護者様にとってバタバタする時間帯で、紙(健康観察票)を持っていくのを忘れたりすることも多かったそうですが、毎日アプリで通知してくれて、実施していないとリマインダーも送られてくるので、報告漏れが減ったという嬉しい声もいただいています。

体温チェック実施者を一覧で見られるので、未実施者、体調不良者を保健室にスムーズに誘導できる

 紙での健康観察票の運用では、一人ひとりの紙を確認しなければいけませんでしたが、「LEBER for School」の学校側の管理画面ではクラス、発熱者、体調不良者、実施の有無、欠席者などで児童・生徒をソートすることができる形式になっているので、未実施者や発熱者、体調不良者などを確認するだけでよくなります。

 さらに、児童・生徒の体調の記録はPDFでの出力やCSV出力が可能なため、児童・生徒の体調の記録を紙やデータで保存しておくこともできます。

 クラスターが発生した際には過去2週間分の児童・生徒の体温・体調のデータを自治体などに共有することが求められるため、安心して対応可能です。

 そしてデジタル化によって生まれた新しいコミュニケーションがあります。欠席中の体調報告です。紙での健康観察票の運用では体調不良で欠席をしている児童・生徒の健康を知ることはできませんでしたが、アプリで報告することにより、欠席をしている間も児童・生徒が体調を学校に報告できるようになりました。まさにこれはデジタル化したからこそ生まれたコミュニケーションです。

 また、各学校によって運用は異なるかもしれませんが、ある学校では休みの際には近所の子どもに連絡帳を代わりに持っていってもらい、先生との連絡を行っているケースがあるそうです。感染症対策の観点では健康な子どもが体調不良者と濃厚接触することは避けなければなりません。

 実はLEBER for Schoolの出席・欠席機能は、これらの現場の声を聞いて、「ここは感染症対策としても、先生方の業務負荷の軽減のためにも開発をしなければならない」との想いで追加開発した機能です。おかげで保護者の方々からは、「出席の連絡がアプリで行えるようになってとても楽になった」、先生方からは「電話で欠席の連絡を受けることがなくなり、本当に助かりました」との声をいただくことができました。

 健康観察票の紙の運用をデジタルに変えただけで「出・欠席報告手段の変化」「教職員の労働時間の削減」「児童・生徒の健康データ収集作業時間の削減」「欠席中の体調報告」など多くの業務に変化が生まれました。これがまさにDXであると思います。

 そして、この領域にはまだまだDXの可能性があると思っています。

次のページ
学校、保護者、児童・生徒が一緒になって取り組める感染症対策の仕組み「健康予報」

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この記事の著者

伊藤 俊一郎(株式会社リーバー)(イトウ シュンイチロウ)

株式会社リーバー 代表取締役。1979年生、新潟県糸魚川市出身。筑波大学医学専門群卒業後、心臓外科医を務める。2014年、茨城県つくば市に株式会社AGRI CAREを設立し、訪問介護事業及び住宅型老人ホーム「AGRI CARE GARDEN」の運営を行う。2015年には訪問診療を行うMED AGRI...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です


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