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プログラミング教育に取り組む学校の先生インタビュー

動画サイトはどう作られているの? 子どもたちが実感できるポイントをSupership×みんなのコードの授業から探る


 2020年4月から小学校でプログラミング教育が必修化される。小学校で取り組むプログラミングはほんの入り口だとしても、実際のエンジニアの仕事のイメージと学びが結びつくことは大切なことだろう。デジタルトランスフォーメーション推進やデータマーケティングに強みを持つSupershipグループ(以下、Supership)は、社会貢献の一環として、全国でプログラミング教育の普及活動を行う特定非営利法人みんなのコードとともに、港区立笄(こうがい)小学校にて「動画サイトを作ろう」のプロジェクトを実施。2019年12月と2020年2月の2回にわたって開催された授業を振り返りながら、関係者に話を伺った。

※このインタビューは2020年3月上旬に実施されたものです。(編集部)

プロジェクトの概要

 本プロジェクトは同校の6年生3学級全員が対象で、1回45分の授業が2回実施された。1回目の授業では、エンジニアの仕事や、動画サイトの仕組みについて伝えた。また、子どもたちが学校紹介の動画を撮影するため、タブレットPCを使った撮影方法を学び、動画のアイディアを出し合った。その後、実際に動画を撮影し、Supershipが専用動画サイトを構築。2回目の授業ではサイトを子どもたちに公開し、裏側のプログラムを見せながら、リアルタイムで「閲覧履歴」の機能を実装するなどして見せた。プロジェクトの様子はSupershipのBlogで詳しく紹介されている。

 授業はSupershipのエンジニアが行い、全体のコーディネートや授業案へのアドバイスでみんなのコードが協力した。

インタビュー参加者

  • 港区立笄小学校 石井卓之前校長
  • 港区立笄小学校 6年生担任 松本翔里教諭
  • Supershipホールディングス株式会社 人財開発本部 本部長 松岡広樹氏
  • 特定非営利活動法人みんなのコード パートナー事業部 畑紗羅氏

動画撮影を生き生きと楽しむ子どもたち

――動画サイトをテーマにしたのはどのような意図があったのでしょうか?

Supership 松岡氏(以下敬称略):身近なものからプログラミングの存在を知ってほしいと考え、将来なりたい職業にYouTuberを挙げる子どもが多いという情報などから、動画サイトを題材にしました。

Supershipホールディングス株式会社 人財開発本部 本部長 松岡広樹氏
Supershipホールディングス株式会社 人財開発本部 本部長 松岡広樹氏

みんなのコード 畑氏(以下敬称略):YouTubeなどの動画サイトは子どもにとっても身近な存在で、興味の入り口として非常に良い選択でした。目の前でコードを書き換えて実際に動画サイトの機能が変化するのを見せられるのは、どの会社でもできることはなく、Supershipさんならではの試みだったと思います。

特定非営利活動法人みんなのコード パートナー事業部 畑紗羅氏
特定非営利活動法人みんなのコード パートナー事業部 畑紗羅氏

――今回の取り組みでは動画撮影をしたとのことですが、子どもたちの様子はいかがでしたか?

笄小学校 松本教諭(以下敬称略):6年生の卒業制作として「学校のいいところや好きなところを紹介する」というテーマでしたが、そこから広がって自由な発想で撮影をしていました。普段からいろいろな動画を見慣れているからか、レポーター風に話したり、ジャンプして別の場所に移動したように見せたりと、思い思いの工夫をしてとても楽しそうでした。見て楽しむものだった動画を、自分たちで撮影できることが面白い様子でした。

港区笄小学校 6年生担任 松本翔里教諭
港区笄小学校 6年生担任 松本翔里教諭

:短い動画をたくさん撮ってもらい、最終的には400本くらいになりましたね。2回目の授業までにSupershipさんが動画サイトを作り、失敗作などを除外して165本をシステムに登録しました。動画の内容に応じて一つひとつタグをつけて登録しています。

今の子どもたちにとって動画サイトは「当たり前」である現実

――2回目の授業で子どもたちに完成した動画サイトを見せたときはどうでしたか?

松岡:各グループのタブレットPCで見てもらいましたが、食い入るように見ていたことが印象的でした。自分や友だちが撮影した動画を見られて楽しかったようです。その後、この動画サイトにはYouTubeと比べるとどんな機能が足りないかを子どもたちに考えてもらい、エンジニアが目の前でコードを書き換えて、おすすめ動画の機能を付け加えました。

完成した動画サイト(一部加工しています)
完成した動画サイト(一部加工しています)

――動画サイトの出来栄えや、実際に目の前で機能が変化するところを見て、子どもたちの反応はいかがでしたか?

松本:子どもたちにとって、動画サイトは当然あるものとしてすでに受け止められているので、それ自体は驚きではなかったようです。目の前で機能が追加されたことについては、「あ、増えた」「あぁなるほど」といった反応です。「おすすめ機能は人間が作っているんだよ」と理解に落としこむことはできたと思いますが、プログラミングの内容(ソースコード)については難しいので、実演を見ても遠くの世界の話になってしまうようでした。

――現象としては「なるほど」と思っても、プログラミングの部分の意味がわかりづらいので「すごい」という驚きにはつながらないわけですね。

松本本当に紙一重の境目で、「なんとなくわかる領域」と「全然わからない領域」が隣り合っていると感じました。

松岡:そこは難しいところですね。今回、子どもたちにコードを書いてもらうことはできませんでしたが、エンジニアが実演をして、目の前で機能が変わる瞬間に立ち会ってもらうことで、プログラミングの役割を実感してもらおうと考えていました。裏側の仕組みについては一定の理解は得られたと感じています。例えば子どもたちは「おすすめ動画」の機能があることは知っていても、その仕組みは知らなかったようです。動画につけてある「タグ」が同じものをおすすめ動画に出しているなどの仕組みを説明しました。

次のページ
「体験」によって得られる実感の大切さ

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この記事の著者

狩野 さやか(カノウ サヤカ)

 株式会社Studio947のデザイナー、ライター。ウェブサイトやアプリのデザイン・制作、技術書籍の執筆に携わる。自社で「知りたい!プログラミングツール図鑑」「ICT toolbox」を運営し、子ども向けプログラミングやICT教育について情報発信している。著書に『見た目にこだわる Jimdo入門』(...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です


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