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EdTechZineオンラインセミナーは、ICTで変わりつつある教育のさまざまな課題や動向にフォーカスし、最新情報をお届けしているWebメディア「EdTechZine(エドテックジン)」が主催する読者向けイベントです。現場の最前線で活躍されているゲストの方をお招きし、日々の教育実践のヒントとなるような内容を、講演とディスカッションを通してお伝えしていきます。

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イベントレポート(プログラミング教育)

社会人からの需要も高まるプログラミング学習――業界の背景事情と、スクールの3つのトレンド


 2月某日、社会人プログラミング学習の動向と、プログラミングスクールの模擬授業を体験できるセミナーが開催された。主催は、自身でも「TechAcademy(テックアカデミー)」という社会人向けスクールを運営するキラメックス。セミナーの内容をもとに、業界の背景事情、プログラミングスクールの動向について整理したい。

リストラとITエンジニア不足が並立するIT業界

 IT業界では、日本独自のITエコシステムが国際競争力の足枷となり、リストラに喘いでいる企業がありながら、ITエンジニア不足が深刻な問題といういびつな状態に陥っている。その理由は、複合的であり業界の中でも因果関係を端的に説明できる人は少ない。また、企業やシステムごとの事情もあり、一元的な分析や解釈はそもそも不可能だ。

IT業界の人材不足
IT業界の人材不足

 ただ、背景として言えることは、既存業界がプログラマやITエンジニアに提示できるキャリアパスに将来性や魅力がなくなっていること。そして、Webおよびクラウド時代が、一般企業やベンチャー企業が自社開発のサービスやシステムを容易に構築できるようにしている現状もある。

 前者は、経営層のSEに対するマネジメントや上流指向が、人材の需給バランスを崩していることが理由と思われる。単純には、経済の低成長や衰退曲面でマネージャや管理職が余っているかリストラの対象になっているという分析が可能だ。

 後者は、大手金融機関でさえ基幹業務システムをクラウドに切り替える現状で、大手SIerが顧客企業(ユーザー企業という)のシステム構築やサービス構築を受注して、下請けに開発を委託する「ゼネコンモデル」が崩壊しつつあることを意味する。IoTブームも後押しする形で、製造業が自社システムや独自サービスを自ら開発(内製化)するため、ITエンジニア人材の採用を増やしている。

プログラミングスクールの3つのトレンド

 ビジネスのあらゆる局面でクラウド化、そして技術のコモディティ化が進むことで、ITエンジニア以外の職種でも情報システムに関するスキルが求められるようになった。そして、従来のパソコンスクールではない、キャリアチェンジのためのプログラミングスクール、プロフェッショナル向けのキャリアアップ講座が注目されている。

 社会人向けのプログラミングスクールの動向について、TechAcademyを運営するキラメックス代表取締役社長の樋口隆広氏は、次の3つの特徴を挙げる。

  • ビジネスパーソン向けコースの拡大
  • 転職保証型コースの拡大
  • 人材系企業の参入
キラメックス代表取締役社長 樋口隆広氏
キラメックス代表取締役社長 樋口隆広氏

 ビジネスパーソン向けコースの拡大は、一般教養としてのプログラミングを学びたいというニーズが増えているからだ。このコースを提供している事業者・スクールは「TECH::CAMP」「CodeCamp」「TechAcademy」などがある。

 ITエンジニア不足は、転職保証型コースを拡大させる要因の一つだ。提供スクールは、「TECH::EXPERT」「DMM WEBCAMP」「TechAcademy(エンジニア転職保証コース)」などが該当する。企業は、求人や人材育成にスクールの力を借りることができる。またスクールとしても受講生に転職先企業を紹介できる強みを持てる。

 この動向は、人材系企業がスクールビジネスに参入する要因にもなっている。中には授業料無料で人材を集め教育し、ITエンジニアの紹介・仲介でマネタイズするところもあるそうだ。提供事業者としてBranding Engineer(TECH BOOST)、ポテパン(POTEPAN CAMP)を示した。

4つの授業形態と注目される質問型スクール

 さらに樋口氏は、社会人向けスクールは、授業形態によって、講義型、質問型、リアル型、オンライン型の4つの組み合わせで分類が可能だとする。講義型は、講師が複数の受講者に対して一般的なスクール形式の授業を行うもの。質問型は反転学習やアクティブラーニングに分類される形式で、受講生が予習または実践し、分からない点を講師に質問する授業スタイルを指す。

社会人向けスクールの授業スタイルマップ
社会人向けスクールの授業スタイルマップ

 現在、教室や教材、環境整備コスト、講師アサインなどの観点から、質問型のスクールが増えている。受講生も、授業料が安い、自分のペース、好きな時間・場所で授業を受けられるメリットがある。講義型の授業をリアルな教室に受講生が集まって受ける形態は、アビバやWinスクールなどが展開する学校形式の授業だ。これに対してリアルな教室で質問型の授業は、TECH::CAMP、DMM WEBCAMPが実施している。

講義型と質問型の違い
講義型と質問型の違い

 オンラインで講義型の授業は侍エンジニア塾が行っている。TechAcademyやCodeCampはオンラインで質問型の授業を提供している(注:当日の説明ではCodeCampは講義型に含まれていたが、読者の指摘に伴い編集部判断で訂正した。2019年3月18日に修正)。オンライン×質問型のスクールは、講師がリモートで対応でき、講師確保やスケジュールも柔軟性がある。ただし、コースあたりの集客数が少ないと赤字になる可能性が高い。受講生側からみると、自宅で好きな時間、好きなペースで学習できる柔軟性が評価されている。半面、質問型は、受講生の意欲やモチベーションの維持が課題だ。

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未経験者からプロフェッショナル向けまで

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この記事の著者

中尾 真二(ナカオ シンジ)

フリーランスのライター、エディター。 アスキーの書籍編集から始まり、翻訳や執筆、取材などを紙、ウェブを問わずこなす。IT系が多いが、たまに自動車関連の媒体で執筆することもある。インターネット(とは当時は言わなかったが)はUUCPの頃から使っている。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です


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