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導入事例(オンライン英会話)

「英語と自分の在り方」を見つめ、世界とつながる第一歩を体験してほしい――オンライン英会話の導入をリードする竹下教授インタビュー


 近年、学校などの教育現場でも注目度が高まる「オンライン英会話」だが、オンラインという環境や講師の信頼性など、懸念を抱えて導入に踏み切れない実態もあるだろう。東洋英和女学院大学では、2016年に英語の授業の1つとして週1回50分間のオンライン英会話の時間を試験的に導入し、その効果を分析。2019年度からの本格導入を決定したという。同校でオンライン英会話の導入を牽引、実際に授業の運営も担当した竹下裕子教授は、オンライン、さらにはネイティブではない講師である意義があると語る。その目的とは何か、どのような導入効果が得られたのか、お話をうかがった。

英語を使って何をしたいのか? 「英語と自分の在り方」を考えられる機会にしたかった

 ――まず竹下先生がオンライン英会話を授業に導入されるにあたり、どのような背景や経緯があったのでしょうか。

 本学には英文科こそありませんが、グローバル化が進み、外国人や英語に触れる機会が増え、ツールとしての英会話が重要なスキルとなっていく時流を踏まえて、すべての学部学科で英語を重視しカリキュラムに反映してきました。とりわけ私が在籍する国際社会学部には英語学習に対する期待も大きく、外国人とのコミュニケーションに強い興味関心を持ち、英語が好きな学生が多く集まっています。

 ただし、そうした学生は英語学習に熱意があるだけに、どうしても「英語が上達すること」を最終的な目的としがちです。先生たちもそうかもしれません。しかしながら、あくまで英語はツールにすぎません。実社会においては「英語で何をするか」「英語で誰とつながるか」に価値があります。

 得意な英語も、使わなければ意味がありません。水泳の理論は完璧に知っていても、泳げなければ意味がないのと同じです。そして実際に泳いでみると、何度となく溺れることもあるでしょう。となれば、実社会に出る前に英語を使う練習が必要です。

東洋英和女学院大学国際社会学部国際コミュニケーション学科の竹下裕子教授
東洋英和女学院大学国際社会学部国際コミュニケーション学科の竹下裕子教授

 ――そうすると、「英語を使う」または「英語を使って何をするか考える」ためのオンライン英会話の導入だったのでしょうか。

 そうですね。先述の通り、大学としては実践的な英語の習得とともに、「英語と自分の在り方」を考えられるような生きた英語を使う機会を提供したいと考えています。スキルだけではなく、考える材料を与えたいのです。

 「自分」と「他者」をつなぎ、思いや考えを伝えるのに必要なのが英語、という考え方に気づくと「TOEIC何点」が最終目標ではなくなるはずです。誰もが目に見えやすい点数などの目標に注目しがちですが、それだけでは意味がないと考えています。あまりに当たり前に日本文化の中で育ってきた学生は、違いに対してあとずさりしてしまう場合も少なくないので、まずは、基本的な異文化との付き合い方、異質なものに対するものの見方も、一生懸命教えようとしています。

 とはいえ、仕事も生活もほぼすべてが日本語で行われている日本社会の中では、そうした「英語を使う」環境を提供するのは大変難しいことです。もちろん一番良いのは英語が使われている場所に留学することです。しかし、その前に日本で、日本人の教員である私が提供できる機会の1つとして「オンライン英会話」という方法を試そうと考えたわけです。

コーディネートやサポートは、教員の重要な仕事

 ――はじめは2016年度に実証実験として、英語の講義にオンライン英会話を導入されたと伺いました。具体的には、どのような仕組みで行われたのですか。

 在学する3年生以上のすべての学生のうち希望者11名を対象に、毎週火曜日の2コマ目でオンライン英会話の授業を設定しました。最初の20分間でウォーミングアップとして私が学生の発話を促す時間を受け持ち、その後、1対1で外国人講師とオンラインでつながり、50分間レッスンを受ける時間を取りました。

 インターネットの先にはフィリピンのセブ島にある語学学校とつながっており、そこに先生が出勤しているシステムです。先生は基本的には固定で、毎週同じ人からレッスンを受ける形にしました。すると先生側も学生のことを覚えてくれて、会話が盛り上がるだけでなく、信頼関係ができるのがいいですね。不足や弱いところの反復など、きめ細やかに対応してもらえました。

 私は全員のやり取りを傍聴する形で監督するのですが、フォローが必要ないほど、みんな必死にやっていましたね。スタートは同じでしたが、あとの進度は学生によってまちまちでした。

 オンラインレッスン終了後の20分で振り返りを行い、学べたこと・難しかったこと・感じたことなどの記録を残すようにしました。その中で要望があればフィードバックするつもりでしたが、大きな問題もなくこちら側の微調整で済みました。先生側でも記録は残されており、それらをすべてを私が確認できるようになっています。フィリピンの先生と一緒に学生を指導している実感がありましたね。

 この授業では私は英語を一切教えず、学生たちが英語を話す手伝いをし、フォローや気付きを与えるという立場でした。というと「何もやっていないじゃないか」という人もいますが(笑)、この50分間で学生が得たものは大きく、そのコーディネートやサポートなどは、これからの教員の重要な仕事になると感じています。むしろ自分で授業をするよりも難しく、知見を得るという意味で私にとっても大変いい経験となりました。

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英語話者の8割がネイティブではない

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この記事の著者

伊藤 真美(イトウ マミ)

エディター&ライター。児童書、雑誌や書籍、企業出版物、PRやプロモーションツールの制作などを経て独立。ライティング、コンテンツディレクションの他、広報PR・マーケティングのプランニングも行なう。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です


岡田 果子(編集部)(オカダカコ)

2017年7月よりEdTechZine編集部所属。慶応義塾大学文学部英米文学専攻卒。前職は書籍編集で、趣味・実用書を中心にスポーツや医療関連の書籍を多く担当した。最近は英語学習のアプリやオンライン講座に興味がある。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です


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