ReBitは、LGBTQにとって安心できる学校環境づくりを支援する「Ally Teacher's Tool Kit:安心な学校をつくろう編」を、3月17日に無料公開した。同キットは、専用ページから無料でダウンロードできる。
ReBitが全国の学校教員200名の実践事例やLGBTQユース2670名を対象に実施した、「LGBTQ子ども・若者調査2022」によると、LGBTQ学生の70%が過去1年で学校での困難を経験する一方、93%が教職員に相談できず孤立している。さらに、10代LGBTQの2人に1人が過去1年で自殺を考えたという深刻な実態も明らかになっている。


このような状況を受け、2023年6月に「性的指向及びジェンダーアイデンティティの多様性に関する国民の理解の増進に関する法律(LGBT理解増進法)」が制定され、学校設置者や学校に対しては、LGBTQに関する教育・啓発の推進、教育環境の整備、相談機会の確保が努力義務として求められている。2024年度からはすべての小学校の保健体育教科書に、2025年度からはすべての中学校の道徳教科書に性の多様性が掲載され、学校現場での取り組みが拡大している。しかしながら、国や行政から具体的な計画が示されておらず、学校や教職員の多くが取り組み方について悩んでいるという。
そこで同団体は、「LGBTQ子ども・若者調査2022」に寄せられた声をもとに「Ally Teacher's Tool Kit」を作成。作成にあたっては校長・教頭・担任の教員をはじめ、教育委員会、スクールカウンセラー、弁護士、医師、ユース支援団体といった多様な専門家の協力を得たほか、クラウドファンディングを通じた151名からの応援を得ている。

同キットは、教職員がLGBTQについて学ぶことによって、安全な学校環境や相談体制を整えるための支援ツール。研修動画やハンドブック、ポスターといった17種類の資材を収録しており、誰でも無料でダウンロードできる。また、学校の教員にはDVDやハンドブックを含む製品パッケージを無料で送付する。
収録されているおもな資材は以下の通り。
- 教員がLGBTQについて学ぶための研修動画やワークシート
- 安全な学校環境や相談体制を整える実践事例集や相談ケース集
- 校内にそのまま掲示可能なポスターやステッカー など


そのほか「Ally Teacher's Tool Kit」には、学校での授業実践を支援する「授業しよう編」もあり、小学校高学年向けと中学校向けの2種類を用意しており、教員がLGBTQについて授業で教える際に活用できる。あわせて、教職員向けのオンライン勉強会・相談会を随時開催し、学校現場への支援を強化していく。
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